なぜ今フリフリチキンなのか?
トリドールは2015年に「2025年度に世界6000店・売上高5000億円を達成し、外食企業世界ランキングで世界のトップ10入りを目指す」というグローバル戦略を発表。2015年以降は海外出店が国内出店を上回っている。海外展開を担うプロジェクトチームでは、うどん以外に柱となる業態として、世界中で人種や宗教を超えて普遍的に好まれている食材である鶏肉に注目。世界展開できる鶏料理を模索していた。
同社は2011年に、丸亀製麺の海外1号店となる「丸亀製麺ワイキキ店」をオープンしているが、粟田貴也社長はそのためにハワイに視察に訪れた際、レイズ・キアベのフリフリチキンに出合い、その味に感動したという。「ぜひ日本にも紹介したいと思い、創業者のレイ氏にオファーをしたが、素朴で堅実な人柄で家族経営に満足しており、オリジナルのチキンの味を守りたいという意思が強かったレイ氏は、事業を広げることは全く考えていなかった」(粟田社長)。
一時は交渉をあきらめ、プロジェクトチームがさまざまな国の鶏料理を検討したが、「やはりレイズ・キアベに勝る味はない」と再認識。約6年間にわたって交渉を繰り返し、買収ではなくフランチャイズという形にし、味を変えないという条件で日本への出店が実現した。
トリドールが日本での今後の展開の足掛かりにするのが、全国で7店舗あるハワイアンカフェ「コナズ珈琲」。「大きな駐車場を備えている郊外店舗にレイズチキンを併設していく」(粟田社長)。ハワイのレイズ本店と同様に移動式グリルを使えば、既存店への併設も可能だという。苦労しているのは、大きくてサイズがそろった鶏の入手。「最近の鶏はおしなべてサイズが小さいものが多くなっている。フリフリチキンに用いる鶏は大きいほどいいが、日本では入手が難しい。購買部は今、この店のために日本中を駆け回って、良質で大きな鶏を集めている」(粟田社長)とのことだ。
由比ガ浜のショップは8月末までの営業だが、2018年早々に神奈川県綾瀬市、2018年3月には埼玉県加須市でのオープンに向けて準備を進めており、その後も3店舗を検討中だという。
(文/桑原恵美子)
[日経トレンディネット 2017年7月12日付の記事を転載]
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