売り場の25%でテストマーケティング
新生阪神梅田本店では、食以外でもさまざまな取り組みに挑戦している。そのひとつが、各階に設けた戦略拠点「テラス」だ。百貨店としては珍しい、自然光を取り入れた明るく開放的な空間をテラスとし、カフェやイベントスペースとして活用。売り場全体の25%にあたる空間でテストマーケティングを行っているのもユニークといえる。
例えば、オープン時には、日常使いを象徴するビニール傘をピックアップしたイベントを開催。手軽に買えて、しかもカスタマイズやリサイクルが可能なビニール傘約200種類をそろえた。7階キッチン用品売り場「ハッピーテーブル」の中央にはライブキッチンを設置。調理の実演をしたり、テーブルを囲んで会話を楽しんだり、従来とは異なる売り方にチャレンジしている。「テラスはフロアの集客拠点であり、2期棟の売り場計画に反映させる狙いがある」(松下氏)という。
百貨店の売り場はこれまで効率重視できたため、自由な発想や斬新さが生まれにくい環境だったが、同店では効率よりも顧客視点を優先。テラスを中心に毎日立ち寄りたくなる楽しい売り場が充実しているといった印象だ。しかも、得意とする食関連売り場を強化し、2021年秋には食の売上比率を50%まで高めるという。
従来型百貨店からの脱却を目指し、強みを鮮明にした阪神梅田本店だが、インバウンドバブルに沸く関西でどう発展していくのか、3年後が楽しみである。
(文/橋長初代)
[ 日経トレンディネット 2018年6月11日付の記事を転載]
Powered by リゾーム?