競技採用の通告は、わずか1カ月前だった

 ウイイレがアジア競技大会のエキシビション競技に選ばれたことについて、コナミデジタルエンタテインメント早川英樹社長は、「私たちとしても、突然の決定でした。『ウイイレ』が競技種目に決定したことが伝えられたのは、いまから1カ月ほど前です」と話す。今回の決定はコナミにとっても急で、驚きだった。このため、大会の準備は実質2週間ほどで行ったという。ただし、結果を見てみれば、この急速な準備が喜ばしい誤算を生むこととなったともいえそうだ。

 一般的に、eスポーツは年間を通したリーグ戦を行い、その総合成績によって順位を競い合う。野球やサッカーなどのプロリーグと同様だ。それは安定したビジネスとして成立させるための仕組みであり、プレーヤーの強さを決める上で、きわめて公平な仕組みともいえる。

 一方で、野球やサッカーなどと違うのは、年齢がまだ若かったり、仕事や居住地が遠いなどの理由で、年間を通じてのリーグ戦への参加を断念しているプレーヤーも多数いる。eスポーツの最前線では名を知られていない多くの凄腕プレーヤーたちが、陽の目を見ることなく隠れているのだ。

 だが、今回の日本代表選考会は急遽設定された影響もあり、わずか2週間の短期決戦となった。それならば!とばかりに、プロはもちろん、在野の凄腕たちもこぞって参戦することを決意。予想以上の盛り上がりを見せることにつながったからだ。

予選会の方式。リーグ戦に参加し、プロ認定されているゲーマー10人がシードのような扱いで参加したが、最終決戦の4人に残れたのは1人だけ。短期決戦ならば参加できると参戦した一般プレーヤーも鮮やかにプロを食ってみせた
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ゲーム産業が負うべき新たな責任

 今回、国際スポーツ大会への参加が決まったことで、eスポーツの関係者たちやゲーム産業そのものが今後、大きな責任を負わねばならなくなったことも指摘しておきたい。

 これまでのゲームソフトは商品に過ぎなかった。例えば人気が落ちたシリーズ作の開発を打ち切ったとしても、そこに社会的な責任は生じなかった。しかし、これからは違う。スポーツの国際大会の種目になった以上、その競技に関わる競技者たちはもちろん、彼らのような立場を目指す子供たちのためにも、永続的にシリーズの人気を保ち続ける責務があるだろう。また、競技者のためのプレー環境を整えていくことも求められる。

 この点について、早川社長は「これまで以上に、競技者のサポートに力を入れていくつもりです。日本だけでなく、全世界で行います。また、ずっと愛されるゲームであるためにも、その魅力を維持しつつ、つねに新しいことにも挑戦していかなければならないと思っています」と語る。

 4年後のアジア競技大会では、eスポーツが正式種目として採用されるという声もある。本当の意味で、eスポーツがスポーツして認められる日は、そう遠くない。そのためにも、eスポーツ業界、そしてゲーム産業が果たすべき責任は、これから大きくなっていくだろう。

他の競技の日本代表選手たちとの記念写真。日本のeスポーツが世間に広く認知される第一歩を踏み出すことになった競技者たちである
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