視聴傾向の分析に性別や年齢のデータは使わない
――Netflixはオリジナルコンテンツに強みがありますね。映画やドラマは原作付きでないと厳しいのに、Netflixではオリジナルコンテンツも視聴される理由として、独自のレコメンデーションシステムを挙げる声も聴きます。どんなデータをどう活用しているのでしょうか。
グレッグ氏:
メンバーに関してはすべての行動を分析しています。具体的には、どのコンテンツを見たのか、あるいは見なかったのか、どのくらいの速度で見たのか、どのデバイスで見たのか、1日のいつ見たのかといったことです。夜見たいものと昼に見たいものでも変わってきますから。
コンテンツについては、監督やキャスト、脚本はもちろん、どれくらい見る人にとって複雑な内容か、シーンの数、ロケーションの数といったデータを組み合わせて、それがメンバーに合ったものかを検討します。
これらのデータを組み合わせて、個々のメンバーの視聴傾向を分析すると同時に、メンバー全体で見たときにどんなものが求められているかも分析し、次にどんなオリジナルコンテンツを制作するかを決めていきます。出来上がったコンテンツをメンバーにどう見てもらうのかというデータもあり、また次のコンテンツ制作に生かされます。
――そこまで細かいデータを収集する一方で、Netflixではメンバーの性別や年齢は分析していないのはどうしてですか?
グレッグ氏: 確かに性別や年齢、その人がどの国や地域で見ているかということも考慮していません。どんな作品が見たいかは性別や年齢などである程度全般的なことが言えるのかもしれませんが、やはり個々の好みは違います。私たちが知りたいのは“real you”、本当のあなたが何を求めているのかです。そのために必要な方法も既に持っていますから、現時点では性別や年齢などの情報は使う必要はないと判断しています。
――日本でのサービスを2015年に開始してからの2年間、グレッグ氏は日本法人の社長を務めています。日本でのこれまでのビジネス展開をどうご覧になっていますか?
グレッグ氏: 成長率は順調に伸びていると思います。その理由としては、メンバーが何を求めているかが理解できるようになってきたこと。もう一つは、au(KDDI)などのパートナーを通じて知ってもらう機会が増えたことがあるでしょう※。
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