メトロは「忘れ物管理の負荷を減らしたい」

 東京メトロ鉄道本部営業部旅客課の阪井健悟主任は、「MAMORIOによって、忘れ物の管理業務の負荷を少しでも軽減できれば」と話す。同社の路線内で届けられる忘れ物の数は1日平均1835件。年間にすると66万件強で、年々増えている。そのうち、持ち主に返却される確率は30%前後だ。

 お忘れ物総合取扱所には、忘れ物が届いているか分からない状態でたずねてくる人が多いが、MAMORIOがついていれば、事前に届いていることを確認した上で引き取りに来られる。それだけでも、業務の負荷は軽くなると見る。このため、今年1月ごろからどの駅に導入するか検討を始め、忘れ物が一番集まりやすい飯田橋駅のお忘れ物総合取扱所、銀座線、丸ノ内線、有楽町線の各終着駅に決めた。

 MAMORIOにしたのは、導入コストの安さも理由だ。「各駅には、乗客への案内用のiPadが2015年8月から設置されている。そのiPadに無料のアンテナアプリを入れるだけで対応できる」。専用アンテナの価格は非公表だが、10万円程度のようだ。来年3月末まで実証実験を行い、どの程度返却率が上がるか、駅事務所の通常業務に悪影響を及ぼさないかなどを確認し、本格導入や対象駅の拡大などを検討する。

東京メトロ飯田橋駅構内のお忘れ物総合取扱所には、届いてから2~4日目までの忘れ物が保管されている。この間に持ち主が現れない場合は警視庁に移される。ちなみに一番多いのは傘で年間8万5000件。次いでID定期券や現金が多い
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忘れ物には一つずつ管理表がつけられている。傘は似たデザインも多いので、特徴にMAMORIO付きと入るだけでも分かりやすくなるのではないか、とのこと
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片隅に専用アンテナが設置されていた
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MAMORIOは「イベント会場にも設置を進めたい」

 MAMORIOにとっては、アンテナ数を増やせるのがメリットだ。MAMORIOには、アプリを入れているユーザーがタグの近くにいると、そのユーザーのスマホがアンテナとなってタグの位置情報をサーバーに記録する機能がある。持ち主がタグから遠く離れてしまっても、位置情報を確認できるようにするための仕組みだ。この機能の特性上、街中にユーザーやアンテナが増えるほど、位置情報は取得しやすくなる。

 MAMORIOの泉水COOは「アンテナは忘れ物が集まる場所に設置したい。駅は非常に効果的」と話す。東急電鉄が運営する東急線渋谷駅、相鉄グループの相鉄線二俣川駅なども試験導入しており、今後は隅田川の花火大会などのイベント会場、ライブ会場などの忘れ物センターにも設置を進めたい考えだ。

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(文/平野亜矢=日経トレンディネット)

日経トレンディネット 2017年6月19日付の記事を転載]