プライバシーの問題もある

 音声アシスタントを搭載した製品は、自然な対話の実現だけでなく、まだまだ使い勝手の点では多くの課題が残っている。例えば、英語以外の言語は先行するAmazon Echoシリーズでも対応を始めたばかりだし、スマートスピーカーがテレビからの音声など意図しない音声に反応したり、子どもが勝手に使ったりしないよう、音声を聴き分ける機能が求められている。

 また、プライバシーの問題も重要だ。音声アシスタントを使用するデバイスは待機中もマイクがオンになっていることから、会話や音声が常に収集され、クラウドに送られているのではないかと指摘されたことがある。Essential Homeは使用中だと分かるよう、あえてディスプレーを搭載しているし、AppleがHomePodが音声解析を本体だけで行っていると強調したのも、過去にSiriで同様の指摘をされた経緯があったからだ。

Essential Homeは、上部にディスプレーを搭載している(米Essential社のWebサイトより)
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擬人化好きな日本は独自に進化?

 日本での音声アシスタント市場は、スマートスピーカーの登場で加速すると見られている。だが、日本語は言葉の進化が激しい上に、世代によって使われる言葉の意味が変わったり、ニュアンスを重視することから、サービスを始めたとしても使いものになると感じてもらえるかが難しいところだ。

 一方で日本人は、ロボットや家電だけでなく、さまざまなデバイスを擬人化することに抵抗が少ない。LINEが資本業務提携したウィンクルの「Gatebox」のようにキャラクターを介して対話する音声アシスタントが人気を集めるケースもある。そのLINEはこの冬に同社のキャラクターをモチーフにしたスマートスピーカー「CHAMP」を発売予定で、日本独自の市場を見越したような動きを見せている。

Gateboxは、キャラクターを介して音声アシスタントを利用する。音声のほか、チャットで会話する機能もある
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 いずれにしても音声アシスタントは、まずは話しかけるのに違和感がないスマホとスピーカーから始まって、スマート家電へと拡がり、パーソナルロボット、家全体(スマートホーム)、そして自動車のユーザーインターフェースとして重要な機能になるのは間違いない。音声だけであらゆるものをコントロールするだけでなく、ジェスチャーや視線入力などを組み合わせるケースも出てくるだろう。

 音声アシスタントを搭載するデバイスは、機能を最小限に抑えた廉価版と、高度な会話やデバイスそのものの機能を高めた高機能版の二極化が進みそうだ。前述した通り、スマートスピーカーではAmazonが廉価版を発売しているし、その他にも音声アシスタントを開発している中国バイドゥや韓国サムスンなど各社から、今後廉価版のスマートスピーカーが発売される可能性は高い。

 高機能版のデバイスの主役となりそうなのがパーソナルロボットだ。シャープのロボホンをはじめ、台湾ASUSTeK Computerの「Zenbo」や独Boschが支援する「Kuri」など、多数の大手メーカーが製品を発表済みで、驚くほどバリエーションが増えている。

ASUSのZenbo(写真/小口覺)
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Boschが支援するKuri
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 音声アシスタントの搭載デバイスとしてロボットの需要が増えれば、日本のロボティクス技術が強みを発揮する可能性も出てくる。いずれにしろ、日本の音声アシスタント市場がどのようなデバイスを中心に拡大していくのか、興味は尽きない。

(文/野々下裕子)

日経トレンディネット 2017年6月21日付の記事を転載]