画面を投影するプロジェクターモジュールは既に出来上がっていたため、タッチ操作の仕組みはタッチセンサーの完成度にかかってくる。「いかに精度を上げていくか。それが開発者としての腕の見せどころだった」と斉藤氏。
ポイントとなるのは、タッチを認識する赤外線の面の張り方だ。投影される23インチの画面全体をしっかり網羅するのはもちろんのこと、画面のぎりぎり真上に赤外線の面を張ることで画面とタッチ場所の誤差を無くし精度を高めている。
この設定はかなり繊細で、ハード的な個体差でわずかなズレが生じるケースもあるという。「日本の工場で個体ごとに微調整をすることで高い精度を担保している」(斉藤氏)。
実際に操作してみると、精度の高さに加えて操作感もスマホと変わりなく、タッチのズレや遅延はとくに感じなかった。投影される画像は1秒間の動画に60枚の静止画を使う60fpsで描画されているため、開発時に1コマ以内でしっかり処理できるように工夫を重ねたそうだ。
そういった背景を鑑みれば操作感がよいのも当たり前で、納得の完成度といってよいだろう。
タッチ操作の弱点は……
ただし、この赤外線によるタッチ操作にも弱点はある。例えば、タッチの範囲内にペンやケーブルなどがあると、それもタッチとして認識してしまう。そのため、画面投影時には何も置かれていないオープンスペースの確保が必要だ。
また、床や壁にゆがみがあると映像自体がゆがむのだが、その影響は当然タッチ精度にも出てしまうので注意したい。
そしてもうひとつ、タッチ操作は「壁や床に隣接して投影した23インチの状態でないと利用できない」というのも気を付けたいポイントだ。
壁から距離を取って大画面で投影している状態では利用できないため、例えば大画面で映画を観ていた場合は、一時停止したけれは23インチの密接状態に戻す必要がある。
大画面においてタッチ操作ができない点はかなり面倒な話だが、Bluetoothマウスを接続して操作できるようにしておけば、この状況はひとまず回避できる。
また、発売時点ではまだ利用できないが、手の動きをカメラで検知して操作できるジェスチャー機能が今後追加される予定。早めの対応を期待したいところだ。
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