居場所がないんですよ、数学好きって
高橋: 堀口さんにはこの先、目標とか夢はありますか。教室を拡大したいとか。
堀口: 数学を縦につなげるというようなプロジェクトを今始めていて、それを広めていきたいなと。今の教育だと高校数学の上に大学数学を積み上げていくんですよ。数学の本当に面白いところって結構積み上げていかないとたどり着けないので、それなら最短で行けるようなルートを構築しようと思って。「すごく面白い数学があるけど理解するのに10年かかる」って言われたら嫌じゃないですか。これは「やわらか数学ゼミ」というプロジェクトです。あとは大人向けの算数教室をもっと本気でやりたいなと思っていて。計算力とやわらかいロジカルシンキングと、あとビジネス理解みたいなこの3つを軸にしたカリキュラムを今作っています。非常にシンプルなんですけど、例えば1000円の商品を1000個売ったときの売り上げは100万円ですと即答できるような。
高橋: 確かにそれ、パッと答えるのって結構きついですよね。
堀口: きついんですよ。必要なんですけど。
高橋: 僕も、何千円が何万個で、何億なのか何千万なのか、さらにそこに利益何パーセントだとしたらという計算に結構時間をかけちゃうんですけど、パッと答えが出るとかっこいいですよね。商談のときもこういう数字を即答できるかできないかで、印象が全然変わると思う。
堀口: あと、3ケタの計算しているのに答えが5ケタとか6ケタになっちゃう人もいるので、ちょっと待ってくださいと思うんです。そういう人は、そもそも数字の感覚を理解してないんですよね。例えば数字を比べるといったときに、絶対評価っていうわけにはいかないので。何かに対して大きいとか、この会社はあの会社に対して売り上げが大きいねと比較するでしょう。そういうのをこれから鍛えられる仕組みがあったらいいなと。和の個別指導はこのまま続けていくのですが、新しい数学の価値を提供する塾をやりたい。これをもっと本気でやると、世の中の数学教育は全部変わると思っています。「数学は本来何のためにやるべきなのか」というところを再度見直していくような新しい数学教育をつくりたいなと思っています。
高橋: 数学への取り組み方もいろいろあるということですね。「ロマンティック数学ナイト」みたいなイベントをやったり。
堀口: ロマンティック数学ナイトは、開催すると毎回250人くらい集まるんですよ。一部の人はもう本当に大好きで熱狂するようなイベントですね。いずれ全国展開をしていって、数学好きのためのプラットフォームというかベースみたいなものを作っていきたいです。
高橋: イベントをやることで数学ファンを増やしたいのか、今のファンを満足させたいのか。どちらなんでしょう。
堀口: もともと数学好きって、他人に数学が好きだと言えないので、数学好きの自分が認められるような場所が欲しいんですよ。僕自身を受け入れてくれるような場所を作りたいというのが、一番のモチベーションだったのかもしれません。
高橋: なるほど。
堀口: 居場所がないんですよ、数学好きって。例えば社内は文系の人ばっかりで、理系は1人とか。数学好きと言ったら「変わってる」みたいな感じになっちゃうじゃないですか。
高橋: やっぱり他人がまねしづらいビジネスモデルって、発案者の奥底にある本音とか不満から生まれるのかもしれないですね。
堀口: 僕の場合は不満から来ていますね。
高橋: いくらいいアイデアがあるといっても自分が好きじゃないことだと、広げ方とか、伸ばし方にほころびも出るかもしれませんよね。自分のことだから他人の気持ちも分かるというか。
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