スマホ用コンテンツとは異なるヒットの法則を見つけ出せるか

 こうなると、アップルも静観しているわけにはいかないはず。これまで、VRへの取り組みついて、ハードウエアの開発を進めていることは認めているものの、どんなハードなのかや、リリース時期などの表だった情報はありません。ですが、早ければ半年後、遅くとも1年後には、何らかの動きがあるのではと見ています。

 一方で、DaydreamによるVRコンテンツの普及に懸念すべきことがないわけではありません。スマートフォン向けのコンテンツは、すきま時間の5~10分でも遊べることから大きく市場を広げました。そのような、ひまつぶしでスマートフォンゲームを楽しんでいる層が、VRを楽しむ環境が提供されたからといって、わざわざヘッドセットを付けてまでVRを楽しむか、ということです。現状のVRコンテンツは、すきま時間で遊ぶというよりも、しっかりと遊ぶというタイプが主流のため、既存のスマホコンテンツのヒットの法則が通用しない可能性があります。

 スマートフォンゲームが爆発的にヒットするきっかけは、iPhoneが登場(2007年)してから数年経って現れた『Angry Birds』であり、日本でいえば『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)ということになるでしょう。スマホゲームならではの画面を指でこすったりする操作と、短時間で遊べる面白さがマッチしたことで、ゲームの遊び方のルールが変わり、大きなマーケットを作りました。VRでも、そうしたVR特有の新しいタイプのコンテンツが登場してくることが期待されます。

 グーグルという“巨人”が参入することで、VRへの注目度が一層高まったのは間違いありません。しかし、グーグルが提供するのはあくまでもプラットフォーム。ハードメーカーにしろコンテンツメーカーにしろ、「Daydream」上で成功をつかむには、いち早く新しい“ルール”を生み出せるかどうかにかかっているといえそうです。

(文/新清士)

新清士(しん・きよし)
氏名 1970年生まれ。慶應義塾大学卒業後、ゲーム会社勤務を経てジャーナリストに。現在は、VRのインキュベーションプログラムを提供するTokyo VR Startups取締役であり、VRゲーム開発会社「よむネコ」の代表。デジタルハリウッド大学大学院准教授、立命館大学映像学部非常勤講師も務める。