「ANA機体工場」を360度の視点で見学する

 続いて「ANA機体工場見学」を視聴してみた。これは羽田空港にあるANAの機体工場で整備中の旅客機を、整備士のような視点で見られるというもの。普通なら近づけないコックピットや尾翼など機体各部のすぐ間近の映像を、360度の視点で楽しめる。足元を見れば足場が組んであり、上を見上げれば工場の天井が見える。すぐ目の前に機体があるような感覚で、後ろや横から説明役の声が聞こえてくるのがリアルだ。社会科見学のようでこれは楽しかった。日本の名所を紹介する旅番組「日本の旅」も同様で、実際に現地にいるような気分が味わえた。旅番組と360度動画は相性が良さそうだ。

 そして「熊本地震 ~被災地の記録~」を視聴した。これは4月14日の地震発生の約10日後に、熊本各地を360度カメラで急遽記録したものだ。一般のテレビ放送や写真よりもずっとリアルに被害の大きさを実感できた。これが360度映像の没入感による効果なのだろう。こうした報道色の強い番組も作成していきたいとのことだった。

「ANA機体工場見学」は、整備士になったかのような視点で飛行機の各部を見られる (c) 2016 360Channel, Inc.
「ANA機体工場見学」は、整備士になったかのような視点で飛行機の各部を見られる (c) 2016 360Channel, Inc.
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被災地にカメラを持ち込んで撮影した「熊本地震 ~被災地の記録~」。被害の大きさがリアルで実感できる (c) 2016 360Channel, Inc.
被災地にカメラを持ち込んで撮影した「熊本地震 ~被災地の記録~」。被害の大きさがリアルで実感できる (c) 2016 360Channel, Inc.
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 こうしていくつかの番組を連続して視聴してみたが、いずれも映像のつなぎ目は感じられず、とても自然に360度全周を見渡すことができた。映像のどこかが歪んでいたり、一部が暗く見えたりといったことはなかった。また、ユーザーインターフェースがシンプルで操作が分かりやすいところも好感触だった。

 そして視聴し終わって印象に残ったのは「疲れにくい」ということ。立体視のVRコンテンツを視聴し続けていると、だんだん眉間がむずがゆくなるような疲れが溜まってくる。こうした感覚が不快でVRコンテンツが苦手という人もいるだろう。しかし「360Channel」は一般的な平面の映像をつないで360度パノラマの動画にしているため、こうした立体視のVRコンテンツにありがちな不快感があまりない。約30分ほど視聴してみたが疲れはなく、もっと長時間視聴できそうだった。

 前述のようにパソコンやスマホでも視聴できるが、このサービスの醍醐味である自分が動画の中にいるような感覚を味わうために、HMDで視聴することをおすすめしたい。HMDはまだ登場したばかりで、立体視でゲームを遊ぶためのものというイメージになりがちだ。しかし新しいタイプのディスプレイとして、こうした動画視聴などゲーム以外での利用が普及のカギになるのではないだろうか。

(文/湯浅英夫=IT・家電ジャーナリスト)

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