筆者はここ数年、本を購入するときは基本的に電子書籍を選んでいる。利用しているのはアマゾンが運営しているKindleストアで、これまでに600冊以上のコミック、小説、雑誌を購入してきた。
電子書籍リーダーとしては、雑誌やコミックを読むときには「12.9インチiPad Pro」、半身浴しながら読むときには防水タブレットの「Xperia Z4 Tablet」、電車での移動中に読むときにはスマートフォンや電子書籍専用端末といった具合に使い分けている。
アマゾンは電子書籍専用端末の最上位モデルとして「Kindle Oasis」を2016年4月14日に発表、同日に予約受け付けを開始し、4月27日から販売を始めた。その評判をSNSなどで見てみると、ローエンドモデル「Kindle」の約4倍にあたる3万5980円からという価格設定に対する不満や、「スマートフォンやタブレットで電子書籍を読めるのに専用端末が必要なのか」という疑問が目立っているようだ。
筆者は本製品を発売日の4月27日に入手し、2週間以上じっくり使い込んできた。今回のレビューではその立場から「Kindle Oasisはその価格にふさわしい価値があるのか」について考えてみたい。
バッテリー内蔵カバーをつければ数カ月間、動作する
現在Kindleシリーズは「Kindle」「Kindle Paperwhite」「Kindle Voyage」「Kindle Oasis」の4製品が現行モデルとして販売されている。
Wi-Fiモデルの価格はKindleが8980円、Kindle Paperwhiteが1万4280円、Kindle Voyageが2万3980円、Kindle Oasisが3万5980円と、かなりの開きがある。さらにアマゾンのプライム会員であればKindleとKindle Paperwhiteには4000円オフのクーポンコードを適用できる。つまり条件は限定されるが、KindleはKindle Oasisの約7分の1、Kindle Paperwhiteは7分の2の価格で購入できることになる。
その価格差だけの価値があるかどうかはいったん保留するが、Kindle Oasisの価格が3万5980円に設定されていること自体は理解できる。最上位モデルであるKindle Oasisには他モデルにはない多くの改善が施されているのだ。
最大の変更点はバッテリー内蔵カバーの存在だ。バッテリー内蔵カバー装着時の連続動作時間は数カ月(明るさ設定10、ワイヤレス接続オフ、1日30分使用した場合)。この連続動作時間はKindleシリーズのほかのモデルだけでなく、他社の電子書籍専用端末を含めても圧倒的に長い。
そして実際に使い込んでみると、本体と内蔵カバーそれぞれにバッテリーを内蔵した「デュアルバッテリー充電方式」は使い勝手がなかなかよい。筆者は外に持ち歩くときはバッテリー内蔵カバーを装着した状態でバッグに入れて、読書するときにKindle Oasisの本体だけを取り出している。バッグのなかではバッテリー内蔵カバーが画面を保護しつつ本体に充電を行い、分離すれば131〜133gと軽量な本体だけで読書できるわけだ。
筆者は明るさ設定18、ワイヤレス接続オンのままで1日3〜5時間とかなり酷使しているので、3〜5日に一度は充電している。だが、毎日充電せずに済んでいるだけでも手間が軽減されている。
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