核としてのK-POPの求心力
こうしたサイクルの核として求心力を持っているのが、K-POPだ。トレーニングに裏打ちされた、ハイレベルなパフォーマンスができるアーティストが、次々に登場してくる。KCONの目玉であり、毎年多くのアーティストが集結するコンサート「M COUNTDOWN」でも、それを随所に感じた。
例えば、女性ソロシンガーのCHUNG HA(チョンハ)。「チョンハ姐さん」と呼ばれるのも納得の貫禄とセクシーさに目が行くが、安定したダンスも見事。曲の途中、特に見せ場という風でもなくヒョイッと脚を真上に上げているのを見て驚いた。相当鍛錬を積んでいる証拠だ。
去年も出演したPENTAGONは、最新曲「SHINE」を披露した。この曲の作詞・作曲をしたリーダーのフイは、初日13日のトリを務めたWanna One(ワナワン)の大ヒット曲「Energetic」など、他グループにも楽曲を提供。ほかのメンバーも全員が作詞作曲をすることから、彼らは“作曲ドル”(作曲+アイドル)とも呼ばれている。加えて、振り付けも自分たちの手によるものだ。外部に作曲や振り付けを頼らないことは、表現者としてのモチベーションを挙げると同時に外注コストの削減にも繋がる。自作型のグループは今後も増えていくかもしれない。また、彼らはTWICEなどと同じく、韓国・中国・日本の3カ国からメンバーを集めた多国籍グループ。複数の国で活動しやすいこの形態も、さらに増えていくだろう。
チアリーダーのようにハッピーでパワフルな魅力をさく裂させたMOMOLANDも印象的だ。中でも金髪ツインテールでファニーフェイスのジュイは、端正な顔立ちと女っぽさがウリのK-POPガールズグループにおいて新種とも言える独特の存在。ラップのキュートさも含め、TLCのレフト・アイに通ずる魅力と言えば、30代以上の洋楽リスナーには分かってもらえるだろうか。
筆者が取材した初日には他に、gugudan、RAINZ、VICTON、Samuel、WJSN(宇宙少女)、Wanna Oneが出演し、それぞれ個性を発揮した。世界で通用させるのを前提に発信されるK-POPのステージは、ダンスにしろ歌にしろ、基礎ができていない人がほぼいないので、安心して観ていられる(当たり前のことなのだが、未熟さがかわいらしさとして愛される日本ではそれが当たり前ではない)。欲を言えば、あとはM COUNTDOWNで生演奏が実現されたら最高なのだが、贅沢な望みだろうか。
音から入るか、ダンスから入るか、あるいはファッションやドラマ、映画、グルメから入るか。入口は人それぞれだが、支持層が増えたことで入口は大きくなっている。コンベンションエリアのステージで、Wanna Oneのカバーダンスを踊っていた8歳の少年が「夢はK-POPアイドルになること」と語っていた。子供が将来の夢に挙げ始めたら、そのジャンルは遠くない未来、きっと今よりメジャーになると筆者は感じている。
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