「うっとり」は盛り上げ上手で女性好み!?

 やきとりスタンダードとほぼ同じ時期に同じ綱島にオープンしたのが、「うっとり綱島」。運営会社のそらは創業以来11年間、千葉県に特化して飲食業を展開。各店ごとに異なる業態で展開しており、綱島はワインを充実させた新業態だという。

 同店を利用した印象は“盛り上げ上手”。カウンターの前には寿司店のように新鮮なネタがガラスケースに入っていて、焼く前におすすめの素材を取り出して見せてくれる高級店風の演出。卓上でバーナーを使って明太子を炙るなどインパクトや遊び心のあるメニューが多く、演出ばかりでなく味も良かった。また予約すると樽出しスパークリングワインを乾杯用にサービスで出してくれたり、スパークリングワインを注文するとチーズがおまけについてきたり、会計を済ませたあとにヤクルトを土産にくれたりと、“サプライズプレゼント”がびっくりするほど多かったのも印象的。スタッフもフレンドリーで、食と同時にコミュニケーションやサプライズを重視していることが感じられた。「本格的な焼き鳥を値段を気にせずがっつり食べたい」という男性にはスタンダード、(焼き鳥を食べつつ、にぎやかに盛り上がりたい)女性グループには「うっとり」が受けそうだと感じた。

 また従来のガード下の焼き鳥店はビジネスパーソン一色というイメージだったが、どちらの店でも共通していたのが、客層の幅広さ。2店ともファミリー、カップル、男性グループ、女性グループ、シニアと実にさまざまで、特に小さな子ども連れの若いファミリー客が目立った。ガストやサイゼリヤなどがアルコールを安く提供し出したことで「ファミレス飲み」も流行しているが、やはり若い母親も、たまには“外で飲む”雰囲気を味わいたいのだろう。カジュアルな雰囲気だがよく見るとオシャレで、価格も手ごろ、大人も子供も好きなメニューが多いことから、こうした格安焼き鳥居酒屋が新たなファミレスとして若いファミリー層を取り込んでいるのが感じられた。

「うっとり」ブランドではオープンキッチンでスタッフの元気さを素材ケースで素材の新鮮さをアピールしている
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テーブルに運んでから切る、炙るなど、目の前で仕上げる料理を多くしている。「自家製ポテトサラダ」(490円)は、「焦がしチーズ」「どっさり炙り明太子」「トローリ味玉」の3種類。チーズと明太子は、目の前でバーナーで炙り、味玉は目の前でカットして、ライブ感を演出している
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串焼きは150~180円が中心。創業から継ぎ足したタレと、江戸時代の製法を基に海水を2カ月以上日陰干しし、昆布を加えた「なまら塩」を使用している
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創業以来、力を入れている「つくね」(210円~)は変わりつくね+季節食材を練りこんだつくねが常時、数種類ある。野菜を入れた蒸しつくね「小鶏包」(180円)は日替わりで3種
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(文/桑原恵美子)

日経トレンディネット 2017年5月22日付の記事を転載]