学習効果を高めるために、例文や熟語の良し悪しを判断する監修者にも途中から加わってもらったようですね。
古屋: 学習参考書や漢字ドリルを制作してきた実績のある編集プロダクションに協力してもらいました。ただ、それは僕が例文を作り始めて1年以上経ってからなんですよ。山本が「すまん、古屋、せっかく作ってもらった例文と熟語だが、監修者を入れて一から作り直したい」と言い出したんです。
それから、「この例文は子供に読ませたくないので要検討」「熟語は優先度を考慮してこれに変えたほうがいい」と取捨選択を進めました。その過程でおそらく1000くらいの例文がボツになっています。最初から監修者に入ってもらっていれば、こうした二度手間は防げたのでは、というのが僕の本音です(笑)。ここまでくると、山本から「すまん、古屋、出版できなくなった」と宣告されることも覚悟しなければならないと思い始めました。
完成までに幾多の工夫や苦労があったのですね。ほかに気を付けたことは?
古屋: 例文の内容ができるだけ重複しないように気を付けたこともポイントです。「うんこ」を使ってかぶらないように例文を約3000も作るのですから、簡単なことではありません。
やり遂げるためにはどこかにこもって一気に片付けたほうがいいと考え、一人で沖縄に飛びました。そこで約1週間、海沿いのホテルに缶詰めになって作ったんです。沖縄を選んだのは、オーシャンビューで空と海しか見えない景色の中、自分のイマジネーションを解放して、例文作りに没頭したかったから(笑)。食べるときと寝るとき以外は、うんこの例文のことだけを考え続けました。このひとり合宿のおかげで制作は随分とはかどり、苦難を乗り切ることができたのです。
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