「うんこ」という忌避されがちな言葉をあえて全例文で使った小学生向けの「うんこ漢字ドリル」(文響社)が発売後約2カ月で発行部数148万部(2017年5月12日時点)を記録。空前のベストセラーになっている。
例文は、「春らしい色のうんこだ」「うんこにも羽が生えたらいいのに」など、ナンセンスなバカバカしいものばかり。それが子どもだけでなく親にも「面白い」「笑える」と大受け。発売直後に「例文がすべて『うんこ』の漢字ドリルを見つけてしまった」というツイートが瞬く間に拡散したことも追い風になった。
この「うんこ漢字ドリル」はいかにして、世に出たのか。さまざまな壁を乗り越え、この本を“踏ん張って”出した作者の古屋雄作氏に、そのてん末を聞いた。
当初は「うんこ川柳」の本を出す話だった
うんこ漢字ドリルは小学1~6年生の学年別に全6冊が初版3万6000部で2017年3月24日に発売され、あまりの人気に書店で欠品が続出。発売後約2カ月で発行部数148万部を超え、驚異のヒットを記録しています。作者としてどう受け止めていますか。
古屋雄作氏(以下、古屋): 発売前は、「今の小学生の人口が約650万人だから、その1%が買ったとして6万部程度は売れてくれれば」などと皮算用していましたが、その計算をはるかに超えるヒットだと思っています。「うんこなんて汚い」「子供に買い与えられない」などとクレームが殺到することも予想されましたが、ふたを開けてみるとクレームはほとんどなく、逆に良い形で広まって、受け入れてくれる親子が多かった。うんこというワードに世間が想像以上に肯定的で、「気にしすぎだったかもね」と、今は胸をなでおろしています。
そもそも全例文にうんこという言葉を使うドリルを作ることになったきっかけは?
古屋: 僕は14年前にうんこという言葉を使って言葉遊びをする「うんこ川柳」を個人のウェブサイトで発表し始めました。「うんこをぶりぶり漏らします」「うんこがぷかぷか浮いてます」など、真ん中に擬音語、擬態語を入れたうんこの短文を延々と作って更新していたのです。1000句以上できた時点で出版社に持ち込み、書籍化を目論みましたが、企画は通らず……(笑)。そこで、書籍化が無理なら映像化しようと、老人が創始者になって子供たちにうんこ川柳を広めるというフェイク(架空の)ドキュメンタリーを撮影し、DVDにして販売しました。ばかばかしいながらクスッと笑える、うんこという言葉を使ったコンテンツ作りをライフワークにしてきたわけです。
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