Ingress続編はポケモンGOのノウハウを生かす

 今後のIngressやポケモンGOの展開についても話してもらった。同社は現在、Ingressの後編となる新たなゲーム『Ingress PRIME』を開発している。

 「Ingressを作る前に、Ingressよりもカジュアルなゲームも発案していましたが、結果的にIngressを作りました。Ingressはエッジな、とがった人に向けて作ったゲームです。打って変わってポケモンGOは幅広いユーザー層を目指して作りました。特にポケモンGOはゲームを開始してから遊ぶまでのプロセスが分かりやすく、誰にでもとっつきやすくなっています。Ingress Primeでは、ポケモンGOの分かりやすさをノウハウとして、より親切に作っていきます」とのこと。

 Ingress Primeについては、残念ながら現時点で話せることが少ないというが、ハンケ氏は「現在、Ingressを楽しんでいただいているエージェントの方々の期待に応えられるものを作っています。ゲーム、ストーリー、イベントなど、全く新しいものとして楽しめます。当然、この3つがうまく機能するには、エージェント(Ingressのプレーヤーのこと)の力がこれまでと同様に必要となっていきます」と笑顔を見せた。

アフターパーティーで、メディアや関係者以外には初お披露目となった『Ingress PRIME』。Ingressとの画面の違いを解説
アフターパーティーで、メディアや関係者以外には初お披露目となった『Ingress PRIME』。Ingressとの画面の違いを解説
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イベントには足繁く通い、ファンと交流するジョン・ハンケ氏。こういった活動がIngressのコミュニティー発展につながっている
イベントには足繁く通い、ファンと交流するジョン・ハンケ氏。こういった活動がIngressのコミュニティー発展につながっている
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 ポケモンGOから位置ゲームを始めた人が圧倒的に多いとはいえ、Ingressから流れてきたり並行して遊んでいる人もいる。IngressをやめてポケモンGOだけやっている人もいるだろう。そんないろいろな立場の人たちが、Ingress Primeをきっかけにがもう一度Ingressをプレーするようになるかもしれない。

 今年10月から始まるアニメもIngressのユーザー拡大に一役買いそうだ。フジテレビが深夜アニメ枠として「+Ultra」を新設し、その第1弾として『イングレス』を放映することになった。アニメの櫻木監督は「既存のユーザーがこれまで遊んできて良かったと思えるものにしたい。一方で、アニメを見て、多くの人に新たにIngressを知ってもらいたいですね。アニメの力も大事だと思っています」と答えている。

 そのとき課題になるのが、コアな古参ユーザーの要求を満たしつつ、新規ユーザーを取り込めるかということだ。古参のユーザーやファンが多いゲームは、どうしても閉塞感があり、新規ユーザーが踏み込にくい環境を作ってしまう。かといって、新規ユーザーを中心にすえると、古参ユーザーが離れてしまう。

 古参ユーザーががっかりせず、新規ユーザーが後れを取らず、萎縮せずに遊べる――そんな環境を作っていく上で力となるのが、ナイアンティックが取り組んできたコミュニティー、人と人を出会わせるということなのだろう。なんにせよ、Ingress Primeのローンチが待たれるところだ。

(文・写真/岡安学)

[ 日経トレンディネット 2018年4月25日付の記事を転載]

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