世界のホテル業界に革命をもたらした米シアトル発のデザインホテル「エースホテル」が2019年末、日本に上陸する。NTT都市開発が米エースホテルとホテル運営委託契約を締結し、京都・烏丸通に建設中の複合商業施設の中核施設として出店。エースホテルとしては世界10番目でアジア初。施設の建築デザインは、世界的建築家の隈研吾氏が監修する。
エースホテルの立地は、京都市の登録文化財第1号にも指定された旧京都中央電話局を活用した商業施設「新風館」の跡地。2001年に誕生した新風館は地元客や観光客に親しまれたが、2016年3月に閉館。ホテル・商業複合施設に再開発する計画が立ち上がり、2017年10月から建て替え工事が進行中だ。
新風館再開発プロジェクトを手がけるNTT都市開発の中川裕社長は、エースホテルを誘致した理由をこう語る。「伝統と革新という新風館のコンセプトを継承したうえで、街に溶け込み、地元の人とつながりながら、旅行者に何を体験してもらうかを一番に考えた。世界中のホテルのオペレーターに照会した結果、コミュニティーとどう関わり、どんな体験ができるのかという点で、エースホテルと意見が一致した。エースホテルとのパートナーシップはエリア内で当社が運営する商業施設との相乗効果だけでなく、周辺地域のさらなる活性化にも寄与すると確信している」。
エースホテルは1999年、米シアトルのベルタウンで創業。創業者のアレックス・カルダーウッドは「友だちのミュージシャンやアーティストがツアーで訪れたときに滞在できるような、居心地が良く地元に密着した場所をつくりたい」という思いからエースホテルを立ち上げたという。
地域コミュニティーとのコラボレーションを重視したホテル運営に定評があり、デザインに地域性を取り入れ、新たな文化創出のハブとなるようなコンセプトを掲げているのも特徴だ。現在、シアトルをはじめ、ポートランド、ニューヨーク、パームスプリング、ロサンゼルス、ロンドン、ピッツバーグ、ニューオリンズ、シカゴと世界9都市にホテルを展開している。
そのデザインとコンセプトは世界中のホテルに影響を与え、“エースホテルスタイル”という新潮流を起こしたほど。「“エース効果”といわれるように、エリア内の人の流れを変え、店舗の出店を促すことで地域活性化の起点となるホテル」と、中川社長は説明する。
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