フィッティングで左右の目の高さも確認
外歩きにも使う遠近両用眼鏡の場合、[5]の歩行テストは必須。1枚のレンズの中に複数の度が存在するため、階段や足元のタイルなどが歪んで見え、慣れにくいもあるからだ。この見え方は個人差が非常に大きいといい、「床の模様が遠近両用と手元用ではまるで違って見える」と驚く人が多いという。
もちろん[7]のフィッティングも非常に重要。人間の顔は左右非対称なので、例えば左右の目の高さが違うということも珍しくない。正しい位置に来ないとアイポイントもずれ、見え方も変わってくるので、その人に合わせた微妙な調整が必要だ。また老眼鏡はかけたり外したりが多いので、しばらく使用しているとメガネが広がったりネジが緩む場合もある。そのため同店では定期的なメガネの点検をサービスで行っているとのこと。こうしたことも、安定的な見え方をキープするために重要なのだという。
一般的な遠近両用レンズは約3万円から、読書用レンズは1万円台から
イワキで老眼鏡を作る場合、遠近両用レンズの価格は一般的に3万円からラインアップがあり、フレームを入れて5万円くらいから。読書用レンズは1万3000円~7万円前後で、フレーム込みで3万円くらいからだという(どちらも度数がそれほど強くなく、乱視もなく、フレームも一般的なデザインの場合)。
老眼鏡を作るのはもっと簡単なことなのではないかと思っていたのだが、近視用の眼鏡と比べてもチェック項目が多く、細かい調整が多いことに驚いた。しかしそれだけに満足度も高いのではないかと感じた。
雲林院氏によると、老眼鏡を作るときは「どんなシーンで見えにくいか」を伝える必要が出てくる。例えばスマホを見るときなのか、本を読むときなのか、職場でPCを使っているときなのかなどの細かい要望を伝えるには、ある程度プライバシーを明かさなければならなくなる。ということは、話がしやすく信頼できるスタッフを見つけることも重要だ。
ちなみに最近よく聞く「スマホ老眼」は、スマホの見過ぎによって起こるもので、老眼というより全世代で起き得るピント調整機能の異常。どちらかというと肩こりや頭痛の原因にもなるもので、老眼が進むというよりは近視を悪化させる傾向があるという。よって老眼鏡で解決するというよりは、目を休ませたほうがいいとのことだ。
なお、“見えにくさ”には、老眼以外の目の病気が原因となっている場合もある。初めて眼鏡を作る人は、まず眼科へ行って自分の目の状態を診察してもらうことも重要だ。
(文/桑原 恵美子)
[日経トレンディネット 2018年4月17日付の記事を転載]
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