外国人修学旅行生にも人気の農家民泊

 秋津野ガルテンの年間利用者数は約6万人。7室の和室を有する「農ある宿舎」は年間約2300人が利用し、なかでも外国人旅行客は今年度約3倍ペースで伸びている。夏休み中の家族連れや熊野古道を巡る欧米人観光客のほか、最近では地域づくり研修で訪れる人も多い。

 とくに外国人にとっては、日本の農業を体験できるのも魅力だ。近隣農家14戸と協力する農家民泊では、約2時間の農業体験付き。昨年はマレーシア、今年はオーストラリアからの修学旅行生も受け入れた。また休日を利用して農作業を手伝う「農村ワーキングホリデー」にも取り組み、梅やみかんの収穫期には大学生やサラリーマンに混じって外国人も収穫や加工体験を楽しんでいるという。

 今年は、江戸後期から明治にかけて使われていた「熊野早駆道」を再現。上秋津地区から世界文化遺産に追加登録された熊野古道「潮見峠」をめざすコースで、世界農業遺産の「みなべ・田辺の梅システム」も結ぶ。熊野古道の新たなルートとして、観光客の誘客につなげたいと期待する。

 農業をコミュニティービジネスの視点で再生し、地域の活性化に結実させた「秋津野ガルテン」は、地域づくりが一朝一夕にはいかないことを教えてくれる。それでも全国から視察が絶えないのは、玉井社長ら中心メンバーのリーダーシップや農業法人を支える地元住民たちの思い、現場で働く主婦たちと触れ合うことで地域再生のヒントをつかみたいからだろう。

 「秋津野は地域が人をつくり、人が地域をつくってきた」と玉井社長。その言葉通り、住民が参画意識を持ち、行動を起こすことが、地域づくりにいま一番求められている。

新築のレストラン棟と宿泊棟も里山の木々に囲まれ、すっかりに風景になじんでいる
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宿泊施設は、4人まで宿泊可能な8畳の和室が6室と、16畳の和室が1室。素泊まりの場合、8畳部屋利用で大人2人8400円と手ごろ
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宿泊施設にはフリーWi-Fiを完備するほか、外国人旅行者向けに、お茶の淹れ方や布団の敷き方まで英語で説明した施設ガイドが置いてある
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外国人修学旅行生の受け入れにも積極的。今年はオーストラリアから約200人が訪れた
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地元農家と連携した農家民泊も外国人に好評だ。宿泊するだけでなく、みかんの収穫や梅のパック詰めなど必ず農作業を体験してもらう
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(文/橋長初代)

日経トレンディネット 2017年5月8日付の記事を転載]