長く続いた公共事業削減のあおりで就業者数が減り、さらに高齢化によって人手不足が深刻な建設業界。産業の維持には、女性を含む建設作業従事者を増やすことが急務とされる。国土交通省と建設業界団体は2014年、女性の技術者および技能者(※注)の数が5年間で現在の10万人から倍増することを目指し、行動計画を決めた。

 計画には、女性用トイレや更衣室の整備、仕事と家庭を両立できるような環境づくりなどへの取り組みを盛り込んでいる(参考:国土交通省「もっと女性が活躍できる建設業へ向けた取組について」)。

(※注)建設業に従事する技術者と技能者の区別は明確ではないが、一般に、技術者は設計や測量、現場の監督などに携わる人、技能者は左官や大工など現場で働く職人を指す。
2014年の時点で、建設業に従事する女性の技術者の数は約1万人、技能者は約9万人だった。これを5年間で倍増させることを目指す(国土交通省ホームページより転載)
2014年の時点で、建設業に従事する女性の技術者の数は約1万人、技能者は約9万人だった。これを5年間で倍増させることを目指す(国土交通省ホームページより転載)
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 こうした動きを背景に、市場では建設女子を応援する「かわいい現場グッズ」が登場した。なんと、サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」をあしらった工具袋だ。

 女性に特化した現場作業用品というと、これまでもサイズが小さめの安全帯や、ピンクを差し色にしたようなヘルメットなどの商品は存在したが、ハローキティを腰袋や釘袋、工具差しに採用したコラボ商品は世界初という。

 製造元は、1977年にナイロン製の工具袋を国内で初めて製造販売した安全保護具メーカーの基陽(きよう)。作業用品に求められる丈夫さを確保したうえで、それまで無地のみだった工具袋に模様を配するなど、デザイン性も重視したラインアップに力を入れる。

 同社は、社長や常務を含む従業員約30人の6割以上を女性が占め、ワーキングマザー(働くママ)も多い。地元の兵庫県では、ワークライフバランス認定企業にも選ばれたそうだ。ハローキティの工具袋は「現場でおしゃれに活躍する女性を応援したい」(同社)との思いから生まれたという。

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