コネクテッド・ハードウエア(インターネットと接続するハードウエア)の企画・開発を手掛けるデジタル家電ベンチャーCerevo(セレボ)。
今や日本を代表するハードウエアスタートアップに成長した。その代表を務める岩佐琢磨氏は、国内外の家電メーカーをウオッチし、海外の展示会にも積極的に参加している。今回は、岩佐氏が注目する国内外のニュースや展示会にスポットを当て、イノベーションにつながるものづくりの最新トレンドを紹介する。
最近注目の展示会「サウス・バイ・サウスウエスト」のニュースから、ものづくりに参入するメーカーが多様化する背景と、ソニーが元気に見える理由を岩佐氏に独自に分析してもらった。
コンセプトモデルの展示が増えた
岩佐さんというかセレボは、海外の展示会にも積極的に参加していますよね。最近、展示会といえば「サウス・バイ・サウスウエスト(※)」の存在感が増しているような気がしています。うまく言葉にはできないのですが、イノベーションが起こる雰囲気を感じているというか……。
岩佐琢磨氏(以下、岩佐): 確かに日本でもサウス・バイ・サウスウエストの報道を目にするようになりました。でも残念ながら、今年はサウス・バイ・サウスウエストに行ってないんですよ。ニュースはもちろんチェックしていて、ソニーが積極的に参加しているのがやっぱり面白かったですね。
やはりソニーですが…。ではソニーのお話の前に、岩佐さんの目から見て、今年のサウス・バイ・サウスウエストは大きくどんな状況だったのでしょうか?
岩佐: サウス・バイ・サウスウエストを見て思うのは、東京モーターショーなどに出展される「コンセプトカー」のような、そのまま製品化するつもりが全くない「コンセプトモデル」が増えてきていることです。CEATEC(※)も、昔はコンセプトモデルがたくさん出展されていました。最近では「参考出展」はあるものの、そのままでは製品化の予定がないものはあまり見られなくなりました。CEATECが悪いわけではないのですが、サウス・バイ・サウスウエストの展示は興味深いですね。
僕の記憶が正しいなら、ソニーも2000年~2004年ごろまでは結構コンセプトモデルを展示会で出していたのですが、ここのところご無沙汰でした。コンセプトモデルをたくさん出して世に問う姿勢には社内の活気が感じられます。もしかすると、これから復権するのではないか――。そんなソニーを象徴しているようにも思います。あれを見て、来年の年初にはCES(※)もありますから、他社もまねしてコンセプトモデルを展示してくるんじゃないかと感じました。

Powered by リゾーム?