マーケティング、物流支援事業への第一歩
アマゾンにとって、今回の提携はPrime Nowの取り扱い商品を拡大するだけでなく、提携企業の配送やマーケティング支援に乗り出すという側面もある。
従来型のPrime Nowでは、アマゾンが商品の調達、在庫管理、受注、梱包、配送までを一括で行っていた。これに対し、提携店の商品の場合は、調達、在庫管理は各店が行い、アマゾンが担うのは受注、配送だけ。提携店にとってみれば、自社で物流システムを用意することなく、配達型の販売ができるのがメリットだ。
また、Prime Nowのアプリ内では、アマゾンと提携各店の注文画面を分けており、注文する会員は、まず店舗を選択してから商品を選ぶことになる。つまり、提携店はPrime Nowのアプリ内に仮想的な店舗を持つイメージだ。アマゾンの永妻事業部長は「eコマースの新しい販売チャネルだと思っている。アプリ内の店舗にはマーケティング支援も行う」としている。
最近、アマゾンからの荷物の急増による配送業者の負荷増大が問題になっているが、Prime Nowの配送ネットワークはアマゾン独自のもの。Prime Nowでアマゾンが担う役割は「従来のリテイラー(小売業者)とは違う」と永妻事業部長が述べたように、今回の提携は自社の受注システムと配送ネットワークを活用して、アマゾンが新たな事業に踏み出したとも言える。
(文/平野亜矢=日経トレンディネット)
[日経トレンディネット 2017年4月19日付の記事を転載]
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