そこで同社は、いびきに悩む20代男子大学生にウィークリーマンションに1週間滞在してもらい、効果実証実験を実施。毎日、いびきの音量と体がどれだけ動いたかを測定することで安眠度合いを調べた。結果は、テープありのときに、いびきの回数も寝返りなどの動きも目に見えて減少。睡眠の質が改善されることが証明された。構想から約3年。効果を実証するデータがとれたことで、開発スピードが一気に加速したという。

実験の結果、のどの痛みが改善され、いびきの頻度や寝返りの回数も減ったという
[画像のクリックで拡大表示]

消費者のトライアルをいかに増やすかがカギ

 ここでもうひとつの疑問が浮かんでくる。口を閉じるだけなら絆創膏やセロテープで代用できるのでは、ということ。また、就寝途中で剥がれたり、少しでも違和感を覚えると、余計眠れなくなるのではということだ。

 いびきに悩む人の中にはセロテープを貼って寝る人もいるようだが、剥がすときに若干痛い。毎日貼ると皮膚にも良くない。

 一方、ナイトミン鼻呼吸テープには外科手術で傷跡を押さえるときのテープと同じ医療用シリコンタイプの粘着剤が使われている。「柔らかな素材で、長時間貼ったあと剥がすときも皮膚を引っ張らないので痛くない」(小林製薬 日用品事業部 研究開発部 新製品開発特命担当の山中雅史氏)。同時に、テープの側面に波形のくびれを入れて伸縮性を増すことで剥がれにくくなる特殊形状を採用。肌の弱い女性でもかぶれず、毎日安心して使える点も大きなウリになりそうだ。

 実際に、寝つきが悪く、寝相もあまりよくない家族に試してもらったが、テープを貼っている違和感はなく、一晩中、剥がれることはなかった。「40代以上になると加齢によってのどの粘膜が垂れ、唾液も減ってくるのでより効果を実感しやすい」と岩沢氏は期待を寄せる。類似商品がほとんどないことから、同社のほかの商品と同様に、インバウンド(訪日外国人)には“神薬”として人気を集めるかもしれない。

 これまでも独自の戦略で新市場を開拓してきた同社が勝算を確信する「口閉じテープ」は、将来、数百億円市場に化ける可能性を秘めている。「口にテープを貼って寝る」という新習慣が広まるかどうかは、いかに消費者のトライアル機会を増やし、効果を実感してもらうかにかかっているといえる。

(文/橋長初代)

日経トレンディネット 2017年4月4日付の記事を転載]