新しいライフスタイルを提案するデジタル機器として、スマホでドアの鍵を開けられる「スマートロック」が日本でも注目を集め出している。

 実際、2015年に日本でも国内外のメーカーから複数のスマートロックが登場。ソニーとWiLのジョイントベンチャーであるQrio(キュリオ)が2015年11月に発売した「Qrio Smart Lock(キュリオスマートロック)」もそのひとつだ。

 Qrio Smart Lockは、発売当初こそソフトウエアの品質などいくつかの問題でつまずいたが、改善を進めることでその問題を解決。2016年に入ってからはユーザーの評価が格段に上がっており、販売台数も加速しているそうだ。筆者も購入し、毎日便利に使っている。

 スマホと連携することで新たな可能性を生み出す製品が増えるなか、スマートロックを使うと何が便利になるのか。今回は「Qrio Smart Lock」の実機をチェックし、そのメリットや使い勝手を探ってみた。

Qrioのスマートロック「Qrio Smart Lock」。価格は1万9440円(税込み)
Qrioのスマートロック「Qrio Smart Lock」。価格は1万9440円(税込み)

スマートロックのメリットとは?

 冒頭で述べた通り、スマートロックは「スマホでドアの鍵の解錠・施錠を可能にする製品」で、その設置方法によって2つのタイプがある。ひとつはドアの鍵自体を丸ごと取り替えるタイプ、もうひとつは既存のドアに後付けする形で対応させるタイプだ。

 Qrio Smart Lockは後者の後付けタイプ。強力な両面テープでドアのサムターン部分にかぶせるように設置するため、工事の手間がなく手軽に導入できる点がメリットだ。

 スマートロックを導入すれば鍵を持ち歩く必要がなくなる。鍵をすぐ忘れる人には便利だし、「鍵を失くす心配がない」というメリットもある。

Qrio Smart Lockをドアに取り付けたイメージ。縦向きだけでなく、サムターンやドアレバーの位置などに応じて、横向きや下向きでも設置できる
Qrio Smart Lockをドアに取り付けたイメージ。縦向きだけでなく、サムターンやドアレバーの位置などに応じて、横向きや下向きでも設置できる
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 一方、解錠・施錠の手段が鍵からスマホに変わっても、それだけでは解錠の手間はあまり減らない。

 物理的な鍵の場合は「鍵をポケットやカバンから取り出す」→「鍵を鍵穴に挿す」→「ドアの鍵を解錠する」の3ステップが必要だが、スマートロックの場合も「スマホを取り出す」→「アプリを立ち上げる」→「ドアの鍵を解錠する」の3ステップが必要となるためだ。

 それに対してQrio Smart Lockは、2016年3月のバージョンアップでスマートウォッチに対応。これにより「スマートウォッチでアプリを立ち上げる」→「ドアの鍵を解錠する」の2ステップで操作が完了できるようになった。鍵だけでなくスマホさえも取り出す必要がないため、スマートウォッチユーザーであれば、スマートロックによって利便性は格段にアップする。

スマートウォッチでの操作は、watchOS 2.1以降とAndroid Wear 1.0に対応。現時点でアップルウォッチとソニーのSmartWatch 3のみの対応を発表しているが、対応機種は随時追加されるとのこと
スマートウォッチでの操作は、watchOS 2.1以降とAndroid Wear 1.0に対応。現時点でアップルウォッチとソニーのSmartWatch 3のみの対応を発表しているが、対応機種は随時追加されるとのこと
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 ちなみに、1点注意してほしいのは、オートロック式のエントランスを完備したマンションに住んでいる場合。この手のエントランスは、基本的に鍵を直接差し込んで開けるタイプが多いため、結局は鍵が必要となる。Qrio Smart Lockを利用するメリットが少ないので、導入時には注意してほしい。

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