突き抜けてはいないが無難なつくり
StarWrist Eliteを利用するには、スマートフォンとの連携が必要だ。というより、連携なしには時間の調整すらできない。そこでまず、アプリストアからStarWrist用アプリをダウンロードして、中国の電話番号を登録する。続いてStarWrist Eliteに二次元コードを表示し、それをスマートフォンで読み取ればbluetooth接続が可能になり準備が完了する。
身に着けてみて「なるほど高級だ」と感じたのは、待ち受け時の液晶が、時刻が見える程度の輝度に下がること。一部のスマートウオッチでは完全に画面が消えてしまう製品もあるなか、この製品は実用的といえるだろう。本体側面に1つだけあるボタンは、画面を通常の明るさに戻すときや、メニュー画面の「戻る」ボタンとして機能する。
液晶を上下にスワイプすると、待ち受け画面を選べる。また左右にスワイプすると、各機能が表示される。具体的には、心拍数、歩数表示、スマートフォンでの音楽再生、電話やSNSなどの各種通知、ToDoリストの表示、名刺リストの表示、そして深センの交通機関で使える電子マネー「深セン通」などだ。
ちなみに「深セン通」は深セン以外の都市では利用できない。ファームウエアをアップデートすれば他の都市の交通機関にも対応するかと思いきや、売ったらそれまでなのだろうか、何の音沙汰もない。また。チャットの「QQ」や「微信(WeChat)」に通知機能が対応しているのは分かるが、中国では利用できない「Facebook」や「twitter」「WhatsApp」まで対応しているのが面白いところだ。
中国のデジモノは、ボタンをいくつも配備して目いっぱい多機能にするのが“普通”だが、いろいろ盛り込んだところで使えるものが皆無ということもよくある。その点、“大人の男のツール”としてビジネスに必要な機能にフォーカスしているのは好感度高め。見た目に高級感があるわけではなく、また華やかな機能があるわけではなく、深セン限定機能など問題もあるが、かといって使えないというものでもなく、中国製らしからぬ堅実な製品だと思う。
NNA所属。海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国ITを知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国アジア専門のITライターに。連載に「山谷剛史の「アジアIT小話」」、「山谷剛史のマンスリーチャイナネット事件簿」、「中国ビジネス四方山話」など。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)、「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」(ソフトバンククリエイティブ)など。
[日経トレンディネット 2017年3月21日付の記事を転載]
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