ロボットを導入して人件費を削減するなどし、究極のローコスト化を目指している「変なホテル」がついに関東進出――。ハウステンボス(長崎県佐世保市)内の1施設目に続いて2つ目となる「変なホテル舞浜 東京ベイ」(以下、舞浜)が2017年3月15日にオープンした(日経トレンディネット 関連記事「『変なホテル』大解剖! 接客ロボットよりすごいものがいっぱい!?」)。
ブランド名の「変な」という言葉は「奇妙な」という意味ではなく、変化し、進化し続けるホテルの意味とのこと。1施設目からどう変化し、進化しているのか。オープン当日の内覧会で確かめた。
スタッフ7人に対し、ロボットは140体!?
最寄りの駅は、東京ディズニーランド(以下「TDL」)がある舞浜駅。駅をはさんでTDLとは逆方面の、徒歩18分の距離にある。歩けないことはないが、かなりの距離だ(舞浜駅から出ている東京ベイシティバスに5分ほど乗って「富士見五丁目」で下車すれば目の前)。途中は住宅地で店舗もほとんどないので、家族連れならタクシーを使ったほうがよさそうだ。
ロビーに入ると、ティラノサウルス型ロボットがリアルな動きで迎える。その横ではゴミ箱ロボットが動き回ってゴミを回収しているし、右側の大きな水槽には魚ロボットが泳いでいるのが目を引く。
入り口左手がフロントで、そこにも2体の恐竜ロボットが待機し、宿泊客のチェックイン・チェックアウトの対応を行っている。目につくのはロボットばかりだが、それもそのはず、人間のスタッフ7人に対し、ロボットは140体(9種類)だという。「ハウステンボスでさまざまな実験と検証を重ね、スタート時に30人だったスタッフは現在7人になった。そこで舞浜では、最初から7人前後のスタッフでスタートする」(HISの澤田秀雄会長兼社長)。取材当日はオープン日ということで複数のスタッフがいたが、通常のシフトでは1~2人が常駐し、ロボットでは対応できない部分をカバーするという。
真っ先に気が付いた変化は、ハウステンボスの受付で見かけた女性型ロボットの姿が見えないこと。「ファミリー客を想定し、エンターテインメント性を重視して恐竜ロボットだけにした」 (変なホテル舞浜 東京ベイの長井超生マネージャー)。さらに、ロッカーに荷物を収納してくれる巨大なロボットアームも、荷物を部屋まで運んでくれる「ポーターロボット」の姿も見えない。「スペース効率が悪いため、ここでは採用しなかった」(HISホテルホールディングスの平林朗社長)という。ハウステンボスの敷地面積は約1万6400平方メートル(144室)とゆとりがあったが、舞浜の敷地面積は約2000平方メートル(100室)とそれよりかなり小さめ。場所をとるロボットは動かしにくく、実用的ではないという判断なのだろう。
さらに、ハウステンボスで好評だった、ルームキーの代わりになる顔認証システムも採用していない。これもTDL目的の宿泊客が中心のため、エンターテインメント性をより重視した結果。変なホテルではその土地や状況にあったロボット・システムを導入し、一つひとつのホテルが異なるタイプになるという。
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