787のフライトシミュレーターに搭乗!

 さて、次はパイロットの訓練の見学。訓練をする前に、「パイロット」とはどんな人たちなのかを聞いてみた。空の上でたくさんの乗客やスタッフの命を預かる身。さぞや厳しい基準があるのだろうと思っていたら、案の定、たくさんの資格や技能、それを維持するための訓練が必要だった。

 現在の旅客機には、機長と副操縦士の2名のパイロットが乗っている。パイロットになるためには、国が定める資格だけでも、まず航空法に基づいた技能証明(パイロットのライセンス)、航空身体検査証明、航空英語能力証明などに加え、電波法に基づいた無線士の資格などが必要だ。そして、免許は機種ごとに異なる。さらにさまざまな定期飛行訓練や定期技能審査なども受けなくてはならない。

 この定期飛行訓練には、エンジンが故障した場合や警報装置が鳴った場合の対応、スピードが急激に変化した場合の対応、視界不良時の離着陸などが含まれている。どれも一般に起こり得る状況を想定したものだ。その中で、今回はLOFT(Line Oriented Flight Training)と呼ばれるフライトシミュレーターを使った訓練の様子を見学できた。

 このLOFTでは、教官からパイロットに対して、ありとあらゆる突発的な状況が予告なく与えられ、それに冷静・迅速に対応することが求められる。「突発的な状況」とは機体の故障、悪天候、火山の噴火、急病人の発生などで、機長と副操縦士の連携やパイロットとしての総合力が問われる。

 見学したのはJALのパイロット訓練だった。JALのフライトシミュレーターやパイロットの訓練については以前にも取材したことがある(関連記事はこちら)。このときはボーイング737-800型機のシミュレーターだった。

 今回は最新のボーイング787型機のシミュレーター。シミュレーターのコックピットは実機と同じように作られているが、最新鋭機だけあって、大型ディスプレーがずらりと並んだ未来感あふれるものだった。

 パイロットの目の前にはHUD(ヘッドアップディスプレー)がついている。後ろから見ているとただの透明なパネルにしか見えないが、パイロットの視線からだと、ここに計器の情報などが表示されて見える。窓の外の様子を見ながら機体の情報なども分かるわけだ。

 シミュレーターの窓からはCGで再現した風景が見える。夜間、濃霧といった気象の変化も再現可能。気象の変化や飛行機の状態によって、フライトシミュレーター全体がグリグリと複雑な角度に動くそうだ。当日は、私たち取材陣がコックピット内で立って見ていると危ないということで、この機能は止めてあったのが、少し残念だった。

ボーイング787型機のフライトシミュレーターの様子。<a href="http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20130730/1051139/" target="_blank">関連記事</a>の写真と比較すると分かるが、737-800型機に比べて大型のディスプレーが増えてスッキりとした印象だ。JALでは使用している機種すべてのフライトシミュレーターを所有して訓練に使っている
ボーイング787型機のフライトシミュレーターの様子。関連記事の写真と比較すると分かるが、737-800型機に比べて大型のディスプレーが増えてスッキりとした印象だ。JALでは使用している機種すべてのフライトシミュレーターを所有して訓練に使っている
シミュレーターは実機と同じパーツを使って同じように作られている。パイロットの目の前には、ヘッドアップディスプレーもある。訓練の合間、機長の頭越しにのぞかせてもらったら、グリーンの光が少しだけ見えた。計器の一部らしい
シミュレーターは実機と同じパーツを使って同じように作られている。パイロットの目の前には、ヘッドアップディスプレーもある。訓練の合間、機長の頭越しにのぞかせてもらったら、グリーンの光が少しだけ見えた。計器の一部らしい
写真だと、窓の外の風景がいかにもCGに見えるかもしれないが、実際はかなりリアルに感じられる。東京スカイツリーもあった。新しい建築物ができたときはデータを追加して、常に最新の空の状態にしているそうだ
写真だと、窓の外の風景がいかにもCGに見えるかもしれないが、実際はかなりリアルに感じられる。東京スカイツリーもあった。新しい建築物ができたときはデータを追加して、常に最新の空の状態にしているそうだ
機体を傾けると窓の外の景色ももちろん傾く。実際の訓練では、フライトシミュレーターごと動く
機体を傾けると窓の外の景色ももちろん傾く。実際の訓練では、フライトシミュレーターごと動く

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