朝目覚めたとき、体の疲れがすっきり取れず、首から肩のあたりが重く感じたことはないだろうか。ひどいときには頭痛で目覚めることも。それはズバリ“朝型肩こり”。夕方に感じる肩こりとは性質が違うらしい。

 「夕方の肩こりはデスクワーク時の姿勢の悪さや眼精疲労などが原因で起こりますが、朝型肩こりは、睡眠の質の悪さ(不眠)が大きな原因です」と教えてくれたのは、冷え症や自律神経失調症に精通する、東京・目黒西口クリニックの南雲久美子先生だ。

 不眠は、自律神経の働きが乱れることによって起こる症状のひとつ。自律神経とは、昼間に活性化する交感神経と、夜間に活性化する副交感神経からなるが、過度のストレスなどによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、夜間でも交感神経が優位になり、眠りづらくなってしまう。

 年度末で忙しい春先は、特にストレスがたまる時期でもあるので不眠になりやすく、朝に肩こりを感じる人も増えるという。「朝型肩こりを放っておくと、頭痛やめまい、便秘、下痢などのさまざまな不調を引き起こし、重症化する可能性もあります」(南雲先生)

 それでは、朝型肩こりを解消するにはどうすればいいか。南雲先生は、「まずは生活習慣を見直し、“がんばりすぎない”ことが大切」だという。「寝る直前までのスマホやパソコンチェックはやめ、リラックスして眠りに入れるよう、心も体もクールダウンする時間を持ちましょう」(南雲先生)

 そこで南雲先生がすすめるのが、腹式呼吸をゆっくりしながら行う簡単なストレッチ。「ストレッチではなくリラックスすることが目的なので、伸ばして気持ちがいいと感じるなら、どこをストレッチしても構いません」(南雲先生)

花冷えも朝型肩こりを悪化させる原因!

 もうひとつ気をつけたいのが、“冷え”だ。「ふとんを肩までかけずに眠る人が多いですが、首や肩を冷やすと血行不良になり、筋肉が緊張するので、朝型肩こりが悪化してしまいます。気温が下がる冬場はもちろん、花冷えなどで急に寒くなる春先にも、就寝時に首や肩を冷やさないよう、タオルを1枚首にかけて寝たり、蒸しタオルで首の付け根から背中に広がる僧帽筋を温めてから寝るとよいでしょう」(南雲先生)

 また、「市販の肩こり解消グッズを活用するのも効果的」という南雲先生。忙しい時期には、首と肩を温めながら、ネックレスタイプの磁気治療器も併用しているそうだ。

 「温めることは冷えに効果的ですが、男性は女性より筋肉量が多いために冷えを感じづらく、温めることに抵抗がある人もいるかもしれません。また、これからの時期は急に気温が上昇して汗をかくこともあるので、温めるのが心地良くない場合は、磁気治療器など、自分に合ったグッズを使って肩こりに対処しましょう」(南雲先生)

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