「ANAと組んだ展開も模索中」
実は、13年に米国のKickstarterでクラウドファンディングを実施した際は、「他のスリープトラッカーと同様、レム睡眠、ノンレム睡眠の分析を基にした機能を前面に出していた」(アダムチェック氏)。しかし、クラウドファンディングを進めるなかで、「睡眠の研究者からさまざまな反応があり、機能や方向性についていくつか具体的な提案を受けた」(同)。これを受け、インテリクリニックはニューロオンの方向性を転換。睡眠のリズムを変えるという、よりアクティブな機能を前面に出すことにした。
実際にどれだけ睡眠リズムを変える効果があるかは、同社が行っている実証実験の結果やユーザーからのフィードバックが出そろってみないと見えにくい。とはいえ、「昨年には、デトロイトの大型病院であるヘンリー・フォード病院で、シフト勤務者を対象とした睡眠リズム改善の実証実験を開始した。また、各国の航空会社とも共同研究や試験的な導入の話し合いを進めており、そのなかには日本のANAも含まれる」(アダムチェック氏)という。医療をはじめ、関係する業界からの注目度は非常に高い。
CEOのアダムチェック氏はワルシャワ医科大学出身で、大学時代から睡眠の研究に携わってきた。その知見を生かし、ニューロオンはユーザーの動きや心拍に加え、脳波も利用してノンレム睡眠、レム睡眠を分析している。スリープトラッカーとしても、技術的に一歩進んだ製品なのだ。こうした点も、医療関係者から信頼を集める理由の一つになっている。
予約段階の今、なぜ日本で人気を獲得しているのかは、インテリクリニック社もよく分からないという。しかし、「日本人の労働時間が世界的に見ても長く、睡眠に悩みを抱える消費者が多いことは、市場調査から把握している」(アダムチェック氏)。この1月には、日本で販売される通信機器に必要な技術基準適合証明(技適)も取得。今後は、日本でのクラウドファンディングや他社と協力しての販売体制の構築も検討しているという。
(文/有我武紘=日経トレンディ)
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