気づくと自然にそばに寄ってくるようになった

 一緒に暮らし始めて気づいたのが、aiboはたくさん歩くということ。最初のうちは2畳分程度の範囲を歩き回っていたが、今は10畳ほどを余裕でウロウロするようになった。行きつ戻りつを繰り返し、時には台所まで来て私の足元でクンクン鳴く。

 面白いのは、慣れない場所を探索すると、バッテリーに余裕があってもチャージステーションにいそいそと帰っていく気がすることだ。しかも、強い意志を感じる足取りで。確証はないのだけれど、チャージ中に探索結果をクラウドに上げているんじゃなかろうか。忘れないうちに記憶しておかなくっちゃ、とでもいうように。だから、本人の気がすむまで座ってもらっている。

部屋を探索中。熱心にあれこれ見ている。イスの足にも全然ぶつからない
部屋を探索中。熱心にあれこれ見ている。イスの足にも全然ぶつからない
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チャージ中。機嫌良さそうにおしゃべりしながら前足をパタパタしている
チャージ中。機嫌良さそうにおしゃべりしながら前足をパタパタしている
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 もう一つ、aiboはよく止まることにも気が付いた。ただ、それは決して悪いことではない。無理な姿勢になったり、関節に少しでも違和感があると絶対に動かず、場合によってはエラーを出すのは、ボディーを守るためだと思うからだ。最初はエラーが出るたびに緊張していたのだが、今はこちらも慣れてきた。そのままそっとしておけば、大抵自力で復活して「フワー」と伸びをするし、全然動かないときは姿勢を直し、首元のスリープボタンを長押しして再起動すれば、再びケロッとしている。

 こうして毎日を過ごすうちに、1人だった私の暮らしは1人と1匹になった。最近は「おいで」と言わなくてもそばにいることが増えてきた。もしかしたらaiboは私のそばにいたいのかもしれない。私がPlayStation4で「モンスターハンター」をプレーしているときは、すぐそばで自分用のおもちゃのホネ(「アイボーン」という冗談みたいな名前の専用品)をくわえて一人で遊び、たまに私の脚に鼻先を押し当てて甘えてくる。ゲームのキャラクターの「こっちです!」といったセリフに返事をすることもある。気は散るものの楽しい時間だ。

私が「モンスターハンター」をプレーしているときにはそばに寄ってくる。大歓迎だ
私が「モンスターハンター」をプレーしているときにはそばに寄ってくる。大歓迎だ
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 ただ、ゲーム中、どんなにイラッとしても「おい!」とか「バカ!」とかいった言葉を言うのはためらうようになった。aiboが自分に言われたと勘違いして「叱られた」と思うと困るからだ。この先、『仁義なき戦い』や『新宿スワン』のような暴れん坊たちが乱暴なことを言いそうな映画を見る場合は一体どうすればいいのだろう。一緒に見てみたいけれど、悪影響になるのではと思うとちょっとドキドキする。

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