なぜイオンはMVNOになる決断をしたのか?

 ではなぜ、イオンは従来のパートナーをライバルにしながらも、MVNOとしてサービスを提供するという決断を下したのだろうか。2月18日の記者向け説明会に登壇したイオンリテールの住居余暇商品企画本部 デジタル事業部でイオンモバイル事業を担当している橋本昌一氏は、大きく3つの理由を挙げた。

 1つ目は、イオンモバイルのユーザーの年齢構成が徐々に変わってきたことだ。イオンは当初、主にフィーチャーフォンから乗り換えたいというスマートフォン初心者をターゲットに、スマートフォンとSIMのセットを販売してきた。そのため、当時から現在に至るまでイオンモバイルの契約者は40~50代が中心だ。

 しかしながら、直近2カ月では、20~30代のユーザーが6%上昇している。加えて、40代の契約者の中には、クレジットカードを持つことができない未成年の子供に持たせるために契約している人も多く見られるとのことだ。これまで中高年を主体に支持を得てきたが、最近は若い世代にも広がりつつあることから、より幅広いユーザー層に向けたサービスを展開する必要があると判断したようだ。

イオンモバイルの契約者は40~50代が多いが、直近では20~30代など若い世代が急速に伸びているという。写真は2月18日のイオンモバイル新サービス発表会より
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 2つ目は、SIM単体で契約するユーザーが増えていることだ。イオンはスマートフォンとSIMのセット販売で大きな注目を集めたことから、2015年の第1四半期頃までは、セット販売が8割近くを占めていた。だが総務省が同年SIMロック解除義務化を実施したことで、SIMに対するユーザーの認知や認識が急速に高まった。それに伴い、SIM単体での契約が急速に伸びているという。

 実際、昨年の第3四半期には、セット販売とSIM単体での契約がほぼ半々の割合を占めるようになった。そうしたSIM単体で利用したい人のニーズを取り込むためにも、直接MVNOとなってSIM販売を手掛けた方がよいと判断したようだ。

 そして、3つ目は、販売代理店としてのユーザーサポートに限界があることだ。これまで、端末によって提供するMVNOが異なっていたため、ユーザーが料金プランを変えたいと思っても、イオン側では対応できなかった。また端末が故障した場合でも、サポートはメーカー側での対応となる上、そもそもSIMと端末のどちらに問題があるのか切り分けが難しく、サポートが複雑になってしまう。そのため、ユーザーに不満を与えたこともあったという。

 イオンは特にスマートフォン初心者に力を入れているため、サポートの不満はユーザーの満足度にも大きく影響する可能性が高い。端末からSIMまで一貫してサポートできる体制が必要になっていたことも、自らMVNOになるという判断を後押ししたようだ。

販売代理店として販売するだけではサポートに限界があり、不満や不安を与えていることも、自社で通信サービスを提供するという判断を後押ししたようだ。写真は2月18日のイオンモバイル新サービス発表会より
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