日中でも時刻が見やすい

 腕時計の良さを残しつつ、アウトドア仕様にできた技術のひとつが、カラーとモノクロの液晶を重ねて表示する「二層液晶」だ。一見すると革新的な技術に思えるが、じつはカシオの腕時計「PRO TREK」などで採用されているモノクロ二層液晶の発想を応用したもの。これまでの腕時計の実績やノウハウがあったからこそ、生まれた技術といえる。

 腕時計は時刻を常に表示するものだが、スマートウォッチはバッテリーが1〜2日間で切れると時刻すら表示できない。カラー液晶とスマートウォッチの機能をオフにすることでバッテリー消費を抑え、最大約1カ月間時刻を表示できるモノクロ液晶表示は、腕時計の良さを残したWSD-F10の優位性を示している。

 さらに、WSD-F10のモノクロ液晶には、太陽光が当たるとそれを反射して通常よりも視認性が上がるという面白い特性がある。アウトドアに特化したWSD-F10にとって、直射日光下での視認性は非常に重要。太陽の下では視認性が極端に落ちるカラー液晶の弱点を補う意味でも、この特性には大きな意義があるのだ。

直射日光下でも、モノクロ液晶ならはっきりと時刻が読み取れる
直射日光下でも、モノクロ液晶ならはっきりと時刻が読み取れる
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 また、アウトドアで必要な情報を表示する「TOOL」アプリは、通常カラー表示で利用するが、TOOLボタンを長押しすることでモノクロ表示に切り替えられる。直射日光で見づらいときに活用できる裏技のような機能だが、坂田氏いわく「アウトドアでも迅速かつ確実に情報をチェックできる環境を大切にしたかった」とのことだ。

 なお、バッテリーセーブを目的とした「タイムピースモード」や「シアターモード」のモノクロ表示でも、時刻は「時」と「分」に加えて「秒」もしっかり表示している。ここが「時を刻む」という腕時計の機能を追求するカシオのこだわりなのだ。

「時計文化の転換点になる」

 一方、製品のデザイン面でも、3つの物理ボタンを使ったスマートなアプリ操作や、スピーディかつスムーズに動くソフトウエアなど、腕時計としての使い勝手を追求した作り込みが随所に施されている。

 なかでもカシオのこだわりを凝縮しているのが、独自ウォッチフェイスのひとつである「コンビ」だ。

独自ウォッチフェイス「コンビ」の画面。右上の標高の数値が針の上に表示されているほか、左の曜日も「SUNDAY」と表示されている
独自ウォッチフェイス「コンビ」の画面。右上の標高の数値が針の上に表示されているほか、左の曜日も「SUNDAY」と表示されている
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 このウォッチフェイスは「カシオらしい時計の画面」を目指し、開発者から営業まで、WSD-F10に携わった多くの社員の意見がデザインに取り入れられた。例えば「針が重なっても下の表示が見えるようにしたい」「曜日の表示を『WED』ではなく『WEDNESDAY』にしたい」など、いろいろな意見を集約して作られている。

「カラー液晶や新しい表示デバイスの登場によって、時刻や情報の表現方法はこれから大きく変わります。そういった意味でいえば、スマートウォッチの登場は、針やモノクロ表示などで表現してきた時計文化の転換点になるでしょう。だからこそ我々は、これからもカシオならではの新しい表現の仕方にこだわっていきたいと思います」(坂田氏)。

 ちなみに、アウトドア用途のWSD-F10だが、街でもその魅力を堪能できると筆者は考えている。タフネスボディーだから気軽に使えて、安心感も高い。スマホの通知を受ける、アプリを利用するといった一般的なスマートウォッチの機能もしっかり備えており、日常でも使っていけるアイテムだろう。

(文/近藤 寿成=スプール)

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