北海道と本州を結ぶ役割を担うのはあとわずか

 寝るにはあまりに過酷な環境だったが、日中の乗り歩きの疲れかいつの間にやら寝入ってしまい、気づくと列車はすでに函館駅に停車中だった。

 普段はここで2時52分から3時22分まで30分間停まるのだが、この日は北海道新幹線の走行試験のため、さらに30分間長い約1時間も停車することになっていた。まだ時間があるので、機関車でも撮影しようと眠い目をこすりながらホームに降り立つ。ところが、札幌駅から牽引してきたはずのDD51型はすでに姿を消していた。青森行きのはまなす号が停車しているのは、一番端の8番線。ホーム自体は行き止まり式なのだが、ホームとは反対側の線路への切り替えポイントが存在し、それを使って車庫に引き上げてしまったようだ。前夜の札幌駅でもホームからはみ出して停車しており、撮影できなかっただけにがっくりである。

 函館駅か、はたまたもっと手前で降りてしまったのか、ドリームカーに空席が出ていたので車掌に断わって移動した。座席の座り心地はもちろんだが、室内灯が暗くなっているので寝心地は雲泥の差。函館駅を出て程なく寝入ってしまい、気が付くと列車はすでに青函トンネルを抜け、本州を走行中だった。

ドリームカーの車内はかなり暗くなっており、寝やすかった。本州に入ってから、進行方向右手に北海道新幹線の高架橋が見えた

 函館駅を通常より30分遅く出発したぶん、青森駅には定刻よりも40分も遅い6時19分に到着。これにより、新青森駅から乗り換えの東北新幹線は1本遅くなる。それはまだいいとしても、本来なら連絡している秋田行き特急「つがる2号」に接続しないのはいかがなものかとは思う。次の特急列車は10時前までなく、秋田着は4時間近く遅くなってしまう。この「つがる2号」、2001年までは「白鳥」という愛称で遠路はるばる大阪駅まで直通していたこともあるのだが。大阪までは現実的でないとしても、秋田までの乗り継ぎ需要ですら無視できるということは、やはりはまなす号の役割は終わりつつある証しなのかもしれない。

青森到着後も、列車が車庫に回送されるまで撮影は続いた。“昭和”の香りがするブルートレインの末裔の余命も残りわずかだ

(文/佐藤嘉彦=日経トレンディ)