味やクオリティーだけでは差異化できない
エイチ・アイ・エスが運営する「変なカフェ」は、単腕型・高性能協働ロボット「Sawyer(ソーヤー)」と、同時に複数杯のドリップコーヒーを淹れられるバリスタマシンの「Poursteady(ポアステディ)」を活用。ロボットがコーヒーをハンドドリップしたり、接客や後片づけまでを担当する。
カウンター形式なので、コーヒーは客が自ら席まで運ぶ。備品の補充などわずかな作業を人間がサポートすればいいので、専任スタッフを置く必要がないという。「初期投資はかかるが、人件費が抑えられるのでコーヒーをリーズナブルな価格で提供できる」と、同カフェを手がけたエイチ・アイ・エス経営企画本部広報室の三浦達樹主幹は話す。店舗はH.I.S.渋谷店内にあり、旅行の相談に訪れた客の待ち時間の緩和になればと考えたそうだが、ロボットを目当ての来客にも期待しているという。
これら3店の取材を通し、カフェの役割が変化してきていると感じた。スペイシーコーヒーは「カフェは空間と電源とWi-Fiを提供する場所」とし、コーヒーマフィアも来店頻度を上げてビジネスを展開するためのツールとしてコーヒーを選んでいる。変なカフェで、ロボットがコーヒーを入れるという面白さで集客を狙っている。もはやコーヒーは主役ではないのだ。
近年、コンビニやファーストフード店もコーヒーに力を入れ始め、味やクオリティーだけでは差異化が難しくなっている。また、喫茶店やカフェをリラックスする場所ではなくオフィスの延長として使用する人が増えていることも、こうした業態が増えた一因なのかもしれない。スターバックスは「サードプレイス(第三の生活拠点)」として親しまれることを店舗のコンセプトにして成功をおさめたが、今やカフェの役割は大きく変わろうとしているのかもしれない。
(文/桑原恵美子)
[日経トレンディネット 2018年2月14日付の記事を転載]
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