ドミノ・ピザ ジャパンは2018年1月18日、注文を受けてから20分でピザを配達する新サービス「ミッション20(トゥエンティ)ミニッツ」を開始した。ドミノ・ピザ ジャパンCMO(最高マーケティング責任者)の富永朋信氏は、「ピザはオーブンから出たあとにどんどんおいしさが失われる商品。できるだけ焼きたてを食べてもらいたいという思いから配達時間を短縮したかった」と導入の狙いを語る。
ドミノ・ピザ ジャパンCMO(最高マーケティング責任者)の富永朋信氏
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同社はこれまで注文から配達までの時間を30分としていたが、10分間短くできた理由は3つあるという。1つ目は、焼き上がりまでの時間を短くする専用オーブンの導入だ。従来のオーブンより加熱力を20%向上させ、これまで5分かかっていたピザの焼き時間を3分に短縮した。
加熱力の向上や熱風の当て方も検証し、約2年半開発を重ねて3分でピザを焼き上げるオーブンを開発した
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2つ目はピザ作りの時間の短縮。同社が独自に認定した「ピザマイスター」を各店に配置し、率先してピザを作るのと同時にスタッフへの指導も行い、クオリティーと速度を高めていったという。
3つ目は、電動アシスト自転車の導入と独自のGPSシステムの開発だ。都市部での移動に適した電動自転車を導入したことで近距離への配達がスムーズになり、車体に付けたGPS端末でドライバーの状況を把握することで、効率的な配達スケジュールが組めるようになったという。「速度も店舗で確認できるので、スピードを出しすぎないように管理できる。配達時間を短縮しても事故が起こらないようにしたい」と富永氏は話す。
配送用の電動アシスト自転車。ドミノ・ピザ ジャパン独自のGPSシステムを使い、店舗でドライバーの状況を管理できるほか、ユーザーも注文画面からリアルタイムで配送状況を確認できる
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200円の追加料金が必要、電話注文はサービス対象外
同サービスを利用するには200円の追加料金が必要。注文は専用アプリもしくはウェブサイトから行う。好きなピザを選んで注文すると、20分以内で配達可能な場合に限り、支払画面上に「今なら20分でお届け」というポップアップが表示される仕組みだ。
20分以内に配達可能な場合には支払画面上にポップアップが表示される
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注文完了後は画面上で注文したピザの状況が表示され、トッピングから焼き上がり、配送に出発した時間までユーザーが随時確認できる。
受け付けから配達完了までをユーザーが確認できる
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「20分で食事が調達できる」コンビニがライバル
このサービスはネット限定で、電話注文は対象外だ。ユーザーをネット注文に誘導するのが狙いなのだろうか。「結果的にネットにユーザーが流入すればいいが、それが狙いではない。今回の施策は『20分で食事を調達できる』という点で大きなビジネスチャンスになる」と富永氏は話す。同氏が具体的に挙げたのは、コンビニだ。自宅でお腹が空いたときに待つことなく食事を調達できる手段としてコンビニを選んでいる人は多いだろう。20分でピザを提供できるようにすることで、そのシーンでの選択肢に入ることができる。
そもそも、ミッション20ミニッツは親会社であるオーストラリアのDomino’s Pizza Enterprise(ドミノ・ピザ エンタープライズ)が約3年前に立ち上げたプロジェクトを踏襲したものだという。テイクアウトの場合は注文完了後3分、配達の場合は10分で商品を届けるというもので、「オーストラリアでは高速で焼けるオーブンの導入やオペレーションの効率化、GPSドライバートラッカーの導入に加え、店舗数を増やして商圏を小さくし、提供までの時間を短くしている」(富永氏)。
今回の施策で利用者が増えれば、店舗数を増やして小商圏化し、提供時間をさらに短くするという好循環が生まれる可能性もある。
交通事情などにより20分以内に配達できなかった場合、次回注文時にMサイズのピザが1枚無料になるクーポンがもらえる
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(文/樋口可奈子)
[日経トレンディネット 2018年1月29日付の記事を転載]
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