製作に最も時間がかかったのは「活字」だった
組み立てが終ったら、次は活字を切り離す作業が待っている。ハッキリ言って、この作業が最も時間がかかって面倒だ。1文字ずつ切り離して、切り離したところに残るバリを取って行く作業は、たったの162文字なのに気が遠くなるほど終わらない。
活字を切り離す作業も大変だが、「活字を作る作業は本当に大変だった」と吉野編集長。「文字面がコンマ何ミリか立ち上がっていたり、つなぎの位置も上だったり、下にしてみたりと、どれもやってみないと分からないので、やっては直し、やっては直しを繰り返した」。本来、精度が必要だからこそ金属で作られる活字をプラスチックで再現するのだから、その大変さは想像に難くない。実際、活字の精度の高さに驚いたほどだ。
次は、実際に印刷に使う活字を拾い出して、活字台にセットする。小さな活版印刷機は、活字がひらがなとアルファベットと数字しかない。しかも、ひらがなは、50音+濁点文字+半濁点文字+小さな文字横書き用+小さな文字縦書き用+記号(句点、読点、音引きなど)の86文字。アルファベットは大文字+小文字(a、e、i、o、p、u、yは2文字ずつ)+数字+記号(カンマやピリオド、?、!、ハイフンなど)の76文字。これらを組み合わせて、文字列を作る必要がある。
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