なぜバレエダンサーは自在に開脚ができるのか?

 それでも「実際に180度開脚をしている人がいるし、気持ちが良さそうだ」と思う方もいるでしょう。しかし、可動域を超えて無理に関節を動かそうとすると、クッションの役割を果たしている軟骨や、骨と骨をつないでいる靭帯を傷つけてしまいます。典型的な例が「捻挫」です。捻挫とは外部からの圧力によって関節可動域を超えて関節が動いてしまったことで、靭帯を損傷したということです。

 では構造上制限があるはずなのに、どうしてバレエダンサーや体操の選手は自在に開脚ができるのでしょうか。

 成人の骨は骨と軟骨がはっきりと分かれており、骨の中には血管が通っているのですが、軟骨部分には通っていません。よって、骨折しても骨は修復されますが、軟骨部分が一度すり減ってしまうと修復は困難です。一方、成長期にある子供たちの骨は全体的にまだ軟らかく、骨と軟骨の境界があいまいです。この段階で過度な負荷を徐々に与えると構造自体が少々変形し、本来の可動域よりも関節を動かせる範囲が広がるのです。まさに“鉄は熱いうちに打て”といったところでしょうか。

 180度開脚によって直接的に「脚のむくみがとれる」「脚が細くて美しくなる」「歩くのがラクになる」といったメリットがあるのであれば目指す価値がありますが、現在そのようなことは科学的に証明されていません。軟骨や靭帯を損傷するリスクがあるのに、メリットがないことをやろうと思う人はいませんよね。

写真:プラナ / PIXTA
写真:プラナ / PIXTA
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