スマートウォッチがいよいよ普及段階に

 話題になった割にパッとしなかったスマートウォッチだが、まずは歩数や活動量を示すアクティビティーモニターとして普及段階に入りそうだ。その後は電子決済が一般的になり、数年後には家や車の鍵としても使われるようになるだろう。

 いよいよ旧来の時計がスマートウオッチに駆逐され始めると予想する。その先駆けとなるのが2017年だ。「Apple Watch Series 2」を僕自身が使い込んで実感した。他社製品も、完成度の高まりとともに人気となるだろう。

 そう予想する理由は、技術的な進化以外にもある。コモディティー化したスマートフォンに行き詰まりを感じるメーカーも増えるはずで、彼らがスマートウオッチに活路を見いだそうとするのは想像に難くない。

 ただし、スマートウオッチ市場が成長するには条件が1つある。あまりにも出来の悪いAndroid Wareの大幅な刷新が欠かせないと思うのだ。現状は、機能、デザイン共にまったく実用レベルに達していない。

旧来の腕時計がスマートウオッチに駆逐される?
旧来の腕時計がスマートウオッチに駆逐される?

VR、ハイレゾは尻すぼみの予感

 昨年末には「2016年はVRが来る」と予想した。確かに、今年はVRが少し盛り上がり、スマートフォンを利用したVRゴーグルがそこそこ話題になった。昨年秋には「PlayStation VR」も発売され、入手が困難なほどの人気になっている。

 だが、実際にVRを使ってみて感じるのは体への負担だ。とにかく疲れるし、目が回るので長時間プレーできない。VRの普及に伴って「VR酔い」の問題が浮上してくると思っている。

 VRが素晴らしい映像と体験を提供してくれることは間違いないのだが、スマートフォンならゲームの“ながらプレー”ができるのに対し、VRはその世界に没入しなければならない。そこまで考えると、家庭向けのVRに関しては誰もが買うほどのヒットは望めないのではないだろうか。3Dテレビよりは売れるとは思うが、本体が爆発的に売れないと対応コンテンツは増えないので、製作に手間が掛かるVRコンテンツが続々リリースされるとは考えにくい。

 同様に、そろそろ失速しそうなのがハイレゾだ。高音質で音楽を聴きたいという人は多いだろうが、そこにどれだけコストを掛けられるかが課題だ。最近はスマートフォンからパソコンまで、片っ端からハイレゾ対応をウリにしているが、アウトプットするヘッドホンやスピーカーが高級品でなければ、その価値は実感しにくい。

 そう考えるとハイレゾは、コストを惜しまない好事家のための機能なのだ。一般ユーザーは、少しくらい音質が劣っても手軽に聴ける音楽配信やワイヤレスイヤホンに目を向けるはず。ハイレゾもこれ以上は伸びないだろう。

 最後になるが、現実には、あまり普及しないかもしれないものの、ぜひ来てほしいと思っているのが、顔認証や虹彩認証だ。指紋認証がすでに普及しているが、使い勝手は絶対に顔や虹彩のほうが優れていると思うのだ。法人市場ではどちらも採用が増えているが、個人向け、家庭向けの製品にも搭載機が目立ってくるはずだ。

サムスンのGalaxy Gear VR。Galaxyをセットするだけで楽しめるのだが……
サムスンのGalaxy Gear VR。Galaxyをセットするだけで楽しめるのだが……
執筆者/戸田 覚(とだ・さとる)氏
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。近著に、『一流のプロから学ぶ ビジネスに効くExcelテクニック』(朝日新聞出版)がある。 Facebook:https://www.facebook.com/toda001

日経トレンディネット 2017年1月5日付の記事を転載]

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