今やるべきことは「明確な目標設定」

 本題についてお話を進めていきます。

 「これから1年の家計のために今やるべきこと」とは、先ほどの3つのポイントのうち1と2を具体化することといえます。

 ゴール(頂上)のない登山を頑張り続けることができる人はいないと思います。貯蓄や節約は大切かもしれませんが、やれるだけ頑張ろうとせずに、どれくらい頑張ればよいか、明確な目標を持ってからスタートするべきなのです。

 家計管理においては、これからのみなさんの人生における『未来の出費』を具体的にイメージして(=ポイント1)、そして、それに対する適切な貯蓄ペースを策定する(=ポイント2)ことが大切なのです。

 では、目指すべき山の高さともいえる未来の出費は、どのように考えればよいのでしょうか?

 日常の収入の範囲で賄うことができるものは、事前に準備する必要はありません。具体的には、食費や光熱費、通信費や遊興費などです。月々の家計簿が赤字にならない範囲で、上手にバランスをとってください。これは、目指すべき山ではなく、足元の石ころです。

 準備が必要な未来の出費とは、ずばり、人生の3大出費ともいわれる「住宅」「教育」「老後」にかかわるものです。これらはどれも、事前に、しかも数年、場合によっては10年、20年の準備期間が必要になることもある大型出費なのです。

 ここでは具体例として、長生きすれば誰にとっても必要な資金となる「老後資金」について考えてみたいと思います。

 例えば、現在、毎月20万円で生活している30歳自営業のAさん夫妻がいたとします。年間で必要となる生活費は、240万円(=20万円×12カ月)です。ところが、調べたところ、20歳から60歳まで国民年金を払ったとしても、自分たち夫婦が65歳からもらえる年金は、夫婦合算で年間150万円前後であることに気づきました。

 ここで、65歳以降仕事をしなければ、単純計算で毎年90万円(=240万円-150万円)を預貯金から取り崩していかなければならないことが判明します。今回は、老後に多少の医療費など雑費がかかる可能性を踏まえ、年間100万円程度の取り崩しがあるものとして考えましょう。

 仮に65歳から85歳までの20年間、この金額を取り崩すと、2000万円(=100万円×20年)が消えていきます。これが、“目指すべき山の高さ”です。現在30歳のAさん夫妻が65歳まで仕事をした場合、準備可能期間は35年ということになりますから、結果として、毎年約60万円(=2000万円÷35年)の貯金を老後のためだけに継続することが必要だということになります。

 Aさんご夫妻にとって、老後という山の高さは2000万円で、その山を35年で登りきるための適切な貯蓄ペースは毎年おおよそ60万円、月々5万円の貯蓄ペースだということです。

 みなさんもぜひ、自分が登るべき山(「住宅」「教育」「老後」など)の高さを見定め、適切な計画を立ててみてください。

lzf / PIXTA
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