この施設のメンターを務めるアンナ・ハートマンもかつてドラッグ中毒だった。高校時代、交換留学で日本の高校に滞在していたこともあったが、カレッジに入った18歳の時にマリファナとアルコールを手放せなくなった。その後、医師にオピオイド鎮痛剤を処方してもらうようになり、その1年後にはヘロインとコカインにハマっていった。そして、ホームレスになり、逮捕されて厚生施設に収容された。

「ヘロインを打つと何も感じなくなる」

 「ドラッグを手に入れるためなら何だってやった。ああいう惨めな生活から抜け出したいと思っていたけど、どうやめればいいのか分からなくて、少しやめては戻っての繰り返し。逮捕されて、正直、解放されたと思った」

最後はホームレスになり、逮捕されてドラッグ生活を抜け出した。

 リハビリは12のプログラムで構成されている。洗濯や料理など生活に必要なスキルを他の入所者と協力しながら身につける。そうやって、一人ではできなかったことを身につけ、自分の感情と向き合う術を模索していく。同じ状況にある仲間と過ごし、助け合うことで回復効果が上がるとアンナは言う。

 ヘロインを打つと何も感じなくなる。怒りも悲しみもあらゆる感情がなくなる。だからみんなヘロインを打つ。怒りや悲しみから逃れるために。この更正施設にきた女性たちは中毒に陥る恐怖を知っている。

 「やめるのは本当に難しい。保護観察中、見つかれば刑務所行きになることが分かっていてもやめられない。家族を失っても、自分が売ったドラッグで他人が死んでも関係ない。ただやめることができない」(リンジー)「ドラッグが切れると、打つ前よりもひどい状態になる。そのサイクルがどんどん短くなっていく。最後は、もう今を逃れるためだけに打っていた」(アンナ)

「絶対にやらないとは断言できない」

 リンジーは今、自分の感情にどう向き合うか、少しずつ学んでいる。

 「通常は5~7日でドラッグが抜けるが、私は2週間かかった。その間は、生きているのが嫌だった。当初は13日間、眠れなかったけど、やっとデトックス(排泄)できました。今は、感情に対処する方法を学んでいます」

 リカバリー・ポイントのプログラムは9カ月から12カ月と長期にわたる。リンジーは5カ月を経過したところで、あと半年もすれば出所することになる。「その後はどうするのか」と尋ねると、「母親になる」と答えた。すでに妊娠しているという。

 「(もうドラッグに手を出さないか)誰も保証できません。絶対にやらないと断言できません。それは誰にも分からない。以前よりはいい感触を持っています。やらなければならないことも分かっている。でも、絶対に手を出さないとは保証できない。そうならないように望むだけです」