実の両親は薬物に溺れ、育児ができる状況ではなかった。生まれて間もなくは、祖父が育てていたが、彼が死亡すると、薬物中毒だった実の母親に引き取られる。だが、クスリに溺れる母親との生活は凄惨で、屋根が崩れ落ちたような家屋に身を寄せ、真冬でも半袖姿だった。その光景を目にした地域のソーシャルワーカーが警察に通報したことで、母親の元から離れ、里親と暮らすことになった。

 「この子たちを育てるうえで難しいことは、彼女たちが心に深い傷を負っているということです。たくさんの荷物を持ってこの家に来ましたが、ネガティブな記憶に結びついているかもしれない。どんなことが彼女たちの恐ろしい記憶や悪夢をよみがえらせてしまうのか、わからないんです。まるで巨大なジグソーパズルに取り組んでいるようなものです」

 2014年に姉妹の「母親」になったキャリー・ソトメイヤーは語る。ソトメイヤー家に来た当初、二人は大人を信用していなかったという。

ソトメイヤー夫妻はドラッグ中毒で育児放棄状態にあった2人の子供を引き取った。

金曜日には週末の「非常食」を子供に配布

 親戚や里親に預かってもらった子供たちは、まだ幸せな方かもしれない。

 「自分で自分を育て始める」

 そう校長のルマスターが表現するように、親がドラッグ中毒になると、食事や洗濯など、子供の世話がおろそかになる。子どもたちは自分で生き抜いていかなければならない。学校にいれば、朝食や昼食を無料で食べることができる。だが、週末や長期休暇にはいれば、食料すら困窮することになりかねない。そこで、ルマスターは寄付で集めた食料を子供に渡す「スナックパック・プログラム」を始めた。週末に食料が何も与えられない時のための非常食だ。

 家庭でネグレクト(養育放棄)が疑われる場合、学校関係者は当局に通報する義務がある。スナックパックはネグレクトまではいっていないが、その可能性がある家庭に対する学校としての精一杯の対応だ。毎週金曜日、15人の子供に与えている。