「なぜ銃を所有するのか?」。この問いに対して、自己防衛を理由に挙げる人は多い。ピュー・リサーチセンターの調査によると、自己防衛と答えた人は銃所有者の67%に上る(狩猟が38%で続く)。

 同じラスベガスに住む元軍人のティム・ズーリックもショットガンやハンドガンなど3つの銃器を所有している。目的はやはり防犯と家族の身を守るためだ。ショットガンはすぐに持ち出せる場所に置いてある。ホルスターのハンドガンは常に一緒だ。

元軍人のズーリックは防犯のためにショットガンを手に入れた(写真:Retsu Motoyoshi)

「みんながお互いを信用するのをやめたんだ」

 「ショットガンを購入したのは数年前。ショットガンの方が散弾なので当てやすいんだよ。(装填の際の)ガシャンという音を聞けば、誰でもすぐに状況を理解するだろう?」

 ズーリックの住んでいる地域はラスベガスの中でも比較的治安のいいエリア。だが、銃犯罪が増える中で“火力”を強化する必要性を感じたという。

 「この5年くらいで銃を持ち歩く人が増えたように思う。みんなお互いを信用するのをやめたんだ。私が子供の時はそうじゃなかった」

銃は「独立独行の精神」の象徴

 一方、趣味のために銃を持つ人もいる。

 「これは私が9歳か10歳の時に最初に手に入れた銃だ。単発の狩猟用ライフルで、両親からのクリスマスプレゼントだった。これでウサギやハトをよく獲りました。この銃には素晴らしい思い出がある」

 ネバダ州ヘンダーソン在住のドナルド・シアラーは愛用のライフルを手に取ると解説を始めた。

 米南部バージニア州で育ったシアラーは子供の頃、父親や兄弟とハンティングに明け暮れた。現在もラスベガスにある狩猟会のメンバーとして週1回はハンティングを楽しんでいる。ラスベガスや別荘のあるオクラホマ州は街を離れるとコヨーテやヘビ、イノシシが出没する。田舎に行く時は安全のために銃が必須だと説く。

 シアラーのように両親に銃をプレゼントされたという経験を持つ人はシニアに多い。ズーリックも父親が使っていたハンドガンを大切に持っている。彼らの父親は、その銃で家族の安全を守ってきたのだろう。親から子に引き継がれる銃――。時代遅れという批判はあるが、銃は今も中西部や南部の米国人に流れる独立独行の精神の象徴である。

シアラーが銃を持つ目的は主にハンティング(写真:Retsu Motoyoshi)