年金で分割できるのは厚生年金だけ

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 次に財産分与ですが、これは結婚している間に築いた財産の半分が目安です。ただし住宅ローンやマイカーローンなどの借り入れはここから差し引きます。サラリーマンの場合、財産の多くは不動産すなわち自宅でしょうし、それもまだローン返済が残っていたりするとその分を引かなければなりませんから、莫大な金融資産でも持っていない限りはそれほど多くのお金にはならないでしょう。

 そして年金です。年金分割という制度ができて、離婚しても妻は夫の年金の一部を受け取れるようになったと言われますが、実際のところは、それほどもらえるわけではありません。

 分割できるのは厚生年金の部分だけですから、夫が自営業なら妻には1円も分割の恩恵はありません。夫がサラリーマンや公務員であれば、専業主婦の妻の場合、半分はもらえます。

 ただしこれは結婚期間に相当する部分ですから、例えば結婚期間が30年で、その間の厚生年金が月額にして10万円ぐらいだとすれば、その半分の5万円が妻の分となります。妻自身の基礎年金と合わせても10万円を少し超える程度ですから、それだけで十分な老後の暮らしができるかどうかは疑問です。夫は夫で、厚生年金が半分になってしまうわけですから、こちらも老後のお金は心細くなります。

作成:社会保険労務士井戸美枝さん(『定年男子 定年女子』より)
作成:社会保険労務士井戸美枝さん(『定年男子 定年女子』より)
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 結局、経済的なことを考えればできれば夫婦円満で離婚などせずに暮らすというのが望ましいわけです。さらに、共に働いて仲良く暮らすことができればベストな選択だと私は考えます。その理由は、経済面のみならず、定年後の生活の面においても、とてもメリットが大きいからです。

熟年離婚よりも怖い高齢離婚

 齢をとって離婚し、1人暮らしになるのは寂しいものです。女性から離婚を切り出す場合、夫と一緒に暮らすのが耐えられず離婚に至るというケースでは特に、離婚した後の妻は生き生きと新しい生活を楽しんでいます。

 逆に離婚を切り出された夫の方は、それ以降落ち込んでしまうことが多いようです。よく言われる「老後の三大不安」は「お金」「健康」「孤独」ですが、熟年離婚によってお金が不安になるだけではなく、離婚によって精神的にダメージを受けて孤独感に苛まれるということになります。

 ひいては健康面にも悪影響を及ぼしかねません。生活していくという面についてもやはり熟年離婚というのはマイナスになる可能性が高いということは言えるでしょう。

 では、そうならないようにするにはどうすればいいのでしょうか。離婚の原因はどちらかが一方的に悪いというわけではなく、多くの場合、複雑な理由がありますから単純明快に「こうすれば絶対大丈夫!」みたいなものはありません。

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