おまけに金融機関の営業マンはやたら老後不安を煽ります。「年金なんてあてになりません」とか「超低金利だから投資すべき」などというセリフを使って、何とか株式や投資信託を買わせようと営業してきます。
ところがそんな甘言に乗せられて投資を始めたものの、やがて暴落が訪れて、あっという間に退職金が半分になってしまった、というような例を私は今まで何人も見てきました。投資が悪いとは言いませんが、まったく経験のない人が退職金でいきなり投資を始める、いわゆる「退職金投資デビュー」だけはやってはいけないと思います。
前述の豪華世界一周よりもこちらのほうがもっと始末が悪いと言えるでしょう。退職金の勘違い、これは誰もが陥りがちなことではありますが、間違いなく老後破産に向けた第一歩だと注意しておくべきです。
まずは「生活の見直し」をしよう
退職した後にまずすべきことは、日々の支出の見直しです。現役時代とは全く異なる基準で生活を考えていくべきでしょう。
まずは、現役時代に当たり前のように行っていたことが本当に必要なのかをチェックします。最初にすべき見直しは、家計へのインパクトが最も大きい生命保険です。いつまでも無駄な保険に入り続け、保険料を払い続けることは、老後にやってはいけないことの1つです。
定年退職して、子供が独立しているのであれば、高額な死亡保険金が出る生命保険はもはや不要です。私の個人的な意見ですが、医療保険すら不要だと思っています。日本の公的医療保険はかなり充実しているからです。
特に高齢期の医療保障は、今後自己負担がより求められるようになるとは言っても、かなりの部分まで国がカバーしてくれます。保険に回すお金があるならその分は貯蓄して備えておくべきです。
現役時代にやっていた飲み会や会社の仲間との付き合い、これは一般的には退職後は減るはずですが、なかには暇になったからと昔の仲間を誘って毎晩のように飲みに行く人もいます。これも見直すべき習慣です。
年賀状もそうでしょう。私自身、現役時代には会社の人間を中心に500~600枚ぐらいの年賀状を出していましたが、退職した後はほとんど出すのをやめました。それでもほとんど誰も気が付きません。
定年退職から数年経って、かつての部下達との飲み会の席で、「もう年賀状は出さないことにしたんだ。悪いね」と言っても、「え、そうだったんですか」と驚く人がほとんど(笑)。要するに自分が気にするほど、他人は自分のことを見ていないのです。

私は退職後に必要なのは「サンカク」だと思います。「義理欠く」「見栄欠く」「恥欠く」です。そういう不要なものをいつまでも身にまとい続けると、なかなか生活コストは下がりません。一つひとつは小さな出費のように思っても、積み重ねれば結構大きな金額になるものです。
現役時代は忙しくて時間がなかった分、時間をお金で買う習慣はしょうがなかったかもしれません。しかしながら退職して時間ができたら、必要のないお金を使う習慣は見直したほうが良いでしょう。
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