科学万能主義や都市化をもって、霊魂は不存在だ、とは言い切れなさそうである。

 先出の畦は言う。

 「都会でも隘路というものがあり、ちょっとした空間に霊魂がぐっと集約されることがあります。つまりパワースポットです。命あるものが活動している以上、どうしても霊魂と無関係でいることはできません」

「死後世界はある」40.8%

 筆者はこれまでジャーナリストの立場で、現代社会と宗教との関係性や、日本人の死生観の変化などを取材してきた。現代人は、死後世界や霊魂をどのように捉えているというのだろう。

 少し前の論文にはなるが、2003(平成15)年に曹洞宗総合研究センターが、一般人(曹洞宗の檀信徒)に向け、霊魂観を尋ねるアンケート調査を実施しているので、参考までに紹介したい。アンケートでは、「死者の存在」、「死後の世界」、「死者の行方」、「霊的存在」などの複数の項目を設けて聞いている。

 死後世界の有無についての項目(回答数1123)では、「ある」と回答したのが40.8%、「ない」と回答したのが10.7%だった。「わからない」は44.9%、「無回答」3.7%だ。「死後世界がある」と信じる人のほうが、「死後世界などない」と考える人を凌駕している実態があるのだ。

 続けて、「亡くなった人はどのような存在になるか」(複数回答可)との問いに対しても、同様であった。「ホトケとなる」が60.5%、「先祖の仲間入りをする」61.2%。一方で、「何もなくなる」が5.7%。多くの回答者が、人が亡くなって肉体は消滅しても、「無」ではなく、「別の存在」になると考えていることが分かる。

 次に、「具体的に霊的存在とは何か」、という問いかけについては、興味深い結果が見られた。

 「自然はいのちをもって生きている」が78.1%、「人間も自然の一部」が71.3%と、この2問については肯定割合が高かったのだ。多くの日本人が「霊的存在」を認めていることが分かる。

 一方で、「では霊的存在は何か」との、具体性を帯びる設問になると、肯定派はとたんに減っていく。

 「山や川、草や木にはカミが宿っている」(24.8%)、「田には田のカミがいる」(19.6%)、「稲には稲のカミがいる」(15.7%)、「動物をいじめたり殺したりするとたたりがある」(15.5%)、「自動車や船、飛行機などはおはらいをしないと事故が起こる」(12.4%)。

 漠とした死後世界や霊的存在は認めるものの、では、どこにどういう状態で存在するのかと問われれば、「分からない」ということなのかもしれない。

 供養や信仰を通して、普段から霊的なものに触れている人や、将門伝説のように祟りが企業リスクになってしまうような局面にある場合は、「霊的存在に対する畏敬」が芽生えることもある。だが、日常生活の中では具体的に霊的存在を意識することがあまりないのが実情だ。

 このアンケートでは、「地球上のすべてのものは人間に利用されるためにある(と思うか)」との設問もあった。ここでの肯定派は3.3%だった。この世において人間こそが絶対主義的な存在であるとの問いに多くが否定的であったことに、筆者はひとまず安堵した。

 なぜなら、昨今、「畏れ知らず」の事件が相次いでいたことに心を痛めていたからだ。