
土木・建設の総合情報誌「日経コンストラクション」では2月22日号の特集で、記者による現地取材を交えながら、福島第一原発の今に迫りました。雑誌の性格上、土木技術者向けのややマニアックな話題もありますが、一般のビジネスパーソンの方にも興味を持っていただける内容だと思います。ぜひお読みください。
(日経コンストラクション編集長 野中 賢)
日経コンストラクション2016年2月22日号の特集「7000人の戦線、福島第一原発」では、未曽有の事故の収束に向けて進む凍土遮水壁や燃料取り出し用カバーの工事についてリポートした。本稿では、誌面に掲載しきれなかった写真やこぼれ話を盛り込みながら、工事の状況をお伝えする。特集記事と併せてお読み頂きたい。
筆者は1月27日、日本記者クラブ取材団の一員として福島第一原発に向かった。発電所の正門付近にある入退域管理棟の下駄箱には、見知った企業名がずらり。鹿島に大成建設、清水建設、前田建設工業――。東京電力から工事などを受注している企業は、元請けだけで42社(メーカーを含む)に上るのだ。
入退域管理棟と隣り合う大型休憩所の7階からは、発電所の敷地が一望できる。林立する汚染水の貯蔵タンクの向こうには、1~4号機原子炉建屋と大型クレーンのジブが見える。
⇒福島第一原発が灰色に染まりゆく(「日経コンストラクション」購読者の方向けです)

APD(警報付き個人線量計)を受け取り、サージカルマスク(風邪予防に用いる一般的なマスク)を付けて構内に入る。行き交う車に気を付けながら、少し歩いてバスに乗り込み、作業の拠点である免震重要棟に入った。
ここで白い防護服に身を包み、半面マスクと眼鏡、ヘルメットを着ける。軍足は2重、手袋は3重だ。慣れない半面マスクが息苦しく、緊張感が高まる。声がこもるので、大声で話し掛けないと伝わらない。「ご安全に」と送り出されてバスに乗り、すぐに1号機西側の高台に到着した。
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