[建屋カバーの工法] 接合部に「嵌合接合」を採用してボルト締めを省く

 事故直後の発電所内で、建屋に近付かずにカバーを掛けるにはどうすればいいか──。2011年当時、清水建設が建屋カバーの建設に当たって採用したのは、溶接やボルト締めを一切使わず、鉄骨の部材に設けた凹凸をかみ合わせるだけで柱と梁を接合する「嵌合接合」だ(図3)。

図3 ■ 大型ユニット化した部材を組み合わせてカバーを構築
(写真・資料:東京電力)
[画像のクリックで拡大表示]

 嵌合接合を利用した身近な例には、レゴに代表されるブロック玩具がある。寺院や神社の本殿のような伝統的な木造建築物の「仕口・継ぎ手」(二つ以上の部材を継いだ接合部)も嵌合接合の代表例だ。  壁パネルは内側のフックで梁に引っ掛けるだけにした。また、屋根パネルは最上段の梁に置き、両端に重りを結んだワイヤで押さえつけることにした。

 短期間でカバーを建設するために部材はなるべく大型化。750t吊りクローラークレーンで組み立てるのを前提に、高さ54mの構造物をわずか60パーツに分割した。

 無人で組み立てるために自動玉掛け・玉外し装置を考案したほか、吊り荷の回転を制御するために、ファン(送風機)を組み込んだ治具も突貫で開発した。ラジコンからプロペラの部品を流用し、実物のように動く模型を製作。さらにモックアップで性能を検証し、実用化にこぎつけた。その成果は解体工事にも生かされている。

2016年2月22日号40~45ページ
-特集 7000人の戦線、福島第一原発-より