機械化は至上命題

 こうした特殊機械を正確に操るには、互いに離れた位置にいるクレーンのオペレーターと機械のオペレーターが息を合わせなければならない。

 前者は鉛ガラスなどで遮蔽した運転席に、後者は1号機の北西40m付近に設置した遮蔽コンテナにスタンバイ。発電所内の免震重要棟に設けた総合司令室から送られる位置情報や指示と、カメラの映像を見ながら足並みをそろえて操縦する。

 砂山建設所長は、「オペレーターの集中力はすさまじい。難しい作業をやり切った後は、気晴らしに酒を飲みにいくこともできないほど疲れ果ててしまうようだ」と感嘆し、こう続ける。「卓越した技能を持つオペは替えが効かない金の卵。被曝線量を抑え、長く働いてもらうために、今後も機械化を一層推し進める」。

 特殊な機械の開発は、メーカーと清水建設が共同で進めている。同社が練った構想をもとに、ポンプや油圧ユニットなどの部品を別々のメーカーから調達し、総合調整を担うメーカーに組み立ててもらう。

 構想から完成までには1年ほど掛かる。その間に事態が刻一刻と変化し、要求性能が変わってしまうのが悩ましい点だ。「100点満点は難しい。足りない分はオペレーターの技量で補うしかない」(砂山建設所長)。

 1号機では、水素爆発で天井がほぼ直下に崩落した。屋根スラブと建屋のオペレーティングフロアの間に、破損した燃料取り扱い設備(FHM)などが挟まれた状態だ(図5)。

図5 ■ 1号機原子炉建屋のがれきの状況
(写真・資料:東京電力)
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 砂山建設所長は、「屋根スラブの下がどうなっているか、より詳細に調査しなければ。コアを抜いてカメラを差し込み、中の様子を見たい」と語る。

 山積する課題を一つずつ片付けるために、今後も様々な特殊機械を現場へ送り込むことになりそうだ。

(木村 駿=日経コンストラクション編集)