装置の位置を自動追尾

 屋根パネルの解体に用いたのは、清水建設が開発した「自動玉掛け・玉外し装置」。屋根パネルの上に突き出たツノの穴に、遠隔操作でピンを差し込んで引っ掛け、吊り上げる仕組みだ(写真1~3)。

写真1■ 自動玉掛け・玉外し装置を組み込んだ治具(吊り天びん)で屋根パネルを解体する様子。屋根の取り外しに関わった作業員は170人。少数のオペレーターの作業を、準備などを担う大勢の作業員が支える体制だ (写真:東京電力)
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写真2■ 屋根パネルと自動玉掛け・玉外し装置の接続状況をモックアップで確認する様子。人の大きさと比べると、パネルの巨大さが分かる(写真:東京電力)
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写真3■ クレーンに搭載したカメラで、吊り上げた屋根パネルの上部を見たところ。写真上に見えるのが1号機原子炉建屋(写真:東京電力)
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 この装置は、カバーの建設時に開発しておいたもの。ただし、当時はパネルを吊り込んで「玉外し」をするだけで良かったので、実戦で「玉掛け」をするのは初体験だった。

 遠隔操作による玉掛けは、玉外しよりもずっと難しい。カバーの建設当初から技術開発などを担当してきた清水建設生産技術本部の梶波信一副本部長は、「目視では確認できない位置まで、装置を正確に誘導するのが課題だった」と話す。

 そこで、梶波副本部長らが考案したのは、建屋から100m以上離れた複数の地点に計測機器(トータルステーション)を配置し、装置を搭載した専用治具の位置を自動追尾するシステム。位置情報をリアルタイムに取得できるようにした(図2)。

図2 ■ 重機や計測システムなどの位置関係
装置や吊り荷の位置は、周辺に設置した計測装置で把握した。東京電力の資料をもとに日経コンストラクションが作成
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 クレーンのオペレーターは、この位置情報とカメラの映像を頼りに、まさに針の穴を通すような精度で装置を吊り込んでみせた。