
土木・建設の総合情報誌「日経コンストラクション」では2月22日号の特集で、記者による現地取材を交えながら、福島第一原発の今に迫りました。雑誌の性格上、土木技術者向けのややマニアックな話題もありますが、一般のビジネスパーソンの方にも興味を持っていただける内容だと思います。ぜひお読みください。
(日経コンストラクション編集長 野中 賢)
3号機原子炉建屋では、2011年9月から始まったがれき撤去が終わり、いよいよ燃料取り出し用カバーの設置に移る。なるべく人手を介さずにカバーを構築できるよう、設計と施工が一体となって計画を練り上げた。
東京電力福島第一原子力発電所の南方55kmに位置する小名浜港の埠頭で、見慣れぬ形の大型鉄骨が静かに本番を待っている(写真1)。
3号機原子炉建屋の最上階(オペレーティングフロア)にあるプールから、566体の使用済み燃料を取り出すためのカバーの部材だ。
完成すると高さ53.5m、奥行き56.9mにもなる巨大な燃料取り出し用カバーは、「燃料取り扱い設備(FHM)」の走行架台であるFHMガーダーとドーム屋根から成る(図1、写真2)。
橋のように建屋をまたぐFHMガーダーとドーム屋根は、鉄骨トラスを採用して軽量化。爆発で傷んだ建屋の上部に荷重を掛けない構造だ。それでも鉄骨の総重量は1250tに上る。
原発の耐震設計に用いる基準地震動Ss(450ガル、600ガル)に対してカバーの耐震安全性を確認したほか、燃料の取り出し中に地震が発生した場合に備えて鉛直方向の揺れを軽減するオイルダンパーも備える。
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